そもそも、一体レギナスはどうしてドミナントに来ることになったのか?
「彼がここに来た理由についてはわかっておりません、
指令によって遣わされたのか、それとも自らの意思で来たのかそれさえもはっきりしておりません。
ただ、レギナスさんの死を筆頭に、アーカネルの当時の関係者が次々とやられています。
しかし、レギナスさんについては、公式では結成から2年半後――
遺体が発見されたその年にリオルダートの地で亡くなったことにしたそうなんです。
それが何者の手によることなのかはわかりませんが――まあ当時は例のフィダンの森の件のように……」
と、アウロディは言葉を詰まらせたがアムレイナは頷いた。
「遠慮などなさらずに。私は真実が知りたいだけです。
昔の負の連鎖を断ち切るため、こうして再び現場へと戻ってきたのですから。
つまり、フィダンの森の件のような安直な処理を、レギナスの死の件についても行われたと言いたいのですね?」
そう言われるとアウロディは青ざめた様子で答えた。
「あっ……ええ、その――私は少なくともそう思っています、実際かどうかは知りません。
実際、フィダンの森に件について、私も参加しておりましたが……その……」
アムレイナは頷いた。
「大丈夫です、その件については私も承知しておりますから。
それで? アーカネルの当時の関係者がドミナントにいるのは?」
アウロディは答えた。
「はい……アムレイナ様も存じておられると思いますが、レギナスさんの件があり、
アーカネルの関係者が次々と暴かれるという問題が起こりました、貴族会の連中の仕業です――」
それによって関係者はあることないこと言われ、
アーカネルよりはるか遠いこの地へと逃れるようにやってきた連中ばかりだった。
ここの駐在たちはそういった話をきいており、アーカネルにまつわる深い闇を知ったそうだ。
無論、そういう話についてはアーカネルに報告できない内容が多く、
フィダンの森の件も彼らから聞いた内容なんだそうだ。
そういうことか――アムレイナは考えた。
「公式では結成から2年半後にリオルダートで亡くなったハズのレギナスが、
実はドミナントで亡くなったことを知らずにドミナントへと流れ着いた多くの当時のアーカネルの関係者たち、
そして、彼らが次々と殺されて――」
アウロディは頷いた。
「そうです、その死の真相を確かめようと、レギナスさんの死から5年後ぐらいにエルヴァランさんがやってまいりました。
時同じくして、ティバリスさんもアーカネルに起きている不信な状況を調査すべく動いていたようなんです。
しかし、それによって2人も帰らぬ人に……ティバリスさんの遺体が見つかっているとよいのですが――」
まあ、ここまでして出てこないティバリス、死んだと思うべきなのは確実だろうが、それにしてもどうしたのだろうか。
「そして、未だにドミナントでは事件が起きている――」
シャオリンはそう言うが、アウロディは話した。
「いえ、物騒な事件が再び起きたのはここ最近です。
当時の事件については一旦鳴りを潜めていましたが、ちょうど流星の騎士団というのが結成されたあたりから再び起き始めています。
最近結成された騎士団に関しては情報がないので何とも言えませんが、
噂によると、当時の風雲の騎士団の子供たちによるメンバーで構成されていると聞いていますが――そうなんですか?」
それは――ライアは何それとなく答えた。
「ええ、そう訊いているわね。
ドミナントでの評判についてはどうなのか訊いてみたいって言っていたわね――」
他人事……何人かはそう思っていた。アウロディは答えた。
「なるほど、当時の子らが親の死を解明すべく立ち上がったのは本当のことでしたか。
評判ですか、評判と言えば――」
アウロディは考えた。
「アルクラド平原に現れたウロボロスを斃したそうですね、あれには多くの者が称賛していますね――」
やったのはネシェラなんだが。話は続いた。
「そうですね、これはあくまで私のカンですが――
恐らく、今回の事件については同一犯または同一グループによる犯行とみて間違いないでしょう。
そのうえでお話をすると、どうも流星の騎士団を避けているような気がしてならないのですよ――」
どういうこと? アムレイナは訊いた。
「ドミナントで流星の騎士団の話があるたびに事件が起きている気がするのです。
それこそ、まるで流星の騎士団に情報を与えんとするために、
当時の関係者を急ピッチで口封じをしているような気がしてならんのです。
気のせいだとは思いたいのですが――」
なるほど、アムレイナは頷いた。
「さっき話していたネシェラって子……相当ってことね――」
シャオリンは呆れ気味にいうとアムレイナは頷いた。
「流星の騎士団の頭脳の大半は彼女で持っているようなものです、
あの子のずば抜けた才能――それだけに、敵も用心しているということかもしれません、
心してかかる必要があるということですね――」
そう言うと、彼女らは一斉に頷いていた。
駐在所を去ろう建物を出ようとしていた彼女ら、先ほど怒っていた兵士ラウドオリスが気さくに話しかけてきた。
「これは皆さま! アムレイナ様! 先ほどは大変失礼いたしました!」
アムレイナは頷いた。
「いいのですよ、とりあえず、こちらの用件は済みました――」
ラウドオリスは頷いた。
「さようですか、それは何よりでございます!
それより、宿屋までお送りいたしましょうか?」
アムレイナは首を振った。
「それは大丈夫です――」
するとその時、ライアは辺りを見回して大きな声で呼んだ。
「アルクレア! アルクレアお姉様! どこです!?」
その名前……兵隊たちは動揺していた。
「えっ……アルクレアってもしかして――」
「なっ、なんと、生きてらっしゃるのか!?」
すると、アルクレアは建物の外からにっこりとした顔で現れた。
「はーい♪ 私はここにいるわよ♪」
アムレイナはにっこりとした面持ちで話した。
「あらあら、外にいたのですね♪」
「ええ。とにかく、宿屋に戻りましょう」
そんなやり取りをしながら彼女らは戻って行った。残された兵隊たちは――
「おい、本物だよな!? 本当に生きていらっしゃったんだよな!?」
「やっぱり綺麗だ……アルクレア様――」
「アルクレア様……もっとお近づきになりたい……」
アルクレア様は大人気だった。
「アルクレア様……生きてらしたか……」
アウロディは腕を組んで悩んでいた。
「なんと、風雲の騎士団の最後の一人、まさかこのような形で――」
ラウドオリスは唖然としていた。