ロイドはレッサーロプロスに立ち向かった!
「この野郎! 食らえ!」
ロイドのデス・スプラッシュ! だが――
「ちっ、狙いが定まらねえか――」
急所には入りそうにない……。
「しゃあねえ、真っ向勝負を仕掛けるしかねえか――」
ロイドは覚悟した。
ある日のこと、騎士団の訓練場にて。
「流石ね! スキが見当たらないわ!」
ネシェラは感動しているが、ロイドは――
「わざとらしいな……。何年一緒にやりあっていると思ってんだ?
お互い手の内知った間だろう? もっとも、だからこそ決着はつかねえわけだが――」
そんな話を聞いていた別の騎士たちが言った。
「へえ、ネシェラ執行官様というのはそこまでお強いのですか?」
なんだいきなり――2人は呆れていた、何人かの騎士たちがこっちをみて揶揄っている様子だった。
「ロイドさんも大変ですね、執行官様のお相手をしなければいけない立場だなんて――」
「まったくだ、しかも美人の執行官様っていうのがまた――」
ロイドは悩んでいた。
「あのな、こいつは俺の――まあいいや。
ってか、お前ら、騎士選抜の一件を知らないのか?」
随分古い話だった、その頃の話である。
「どうせ接待でしょう? わかってますよ。
あとは点数でうまい具合によきに計らえば、と――だいたい相場は決まっていますからね」
「ですが、点数を水増ししたって、実戦はそんなに甘くはないんですよ。
この際ですからはっきり言わせてもらいますが、現地執行官だかなんだか知りませんが、
おとなしく引っ込んでてもらえますかね?」
「そうですよ、だいたいそんな格好しててどう戦うんですか? 冗談もほどほどにしといてくださいよ?
死ぬのは勝手ですが、そんなのに付き合わされる俺らの身にもなってもらえませんかね?」
こいつら、言わせておけば――ロイドはむっとしていると、ネシェラが言った。
「ただの僻み、放っといていいわよ。
自分たちのスタイルに合わないやつを認める気もなければ、
そんな女が自分らよりも目立つ仕事しているのが気に入らないだけ。
自分たちがより活躍しているはずなのにそこまで評価してもらえない――
それで当たり散らしているだけよ。」
確かに、その通りか――
「あーあー、面倒くさい女だなぁー、せっかく人が親切心でものを言って差し上げているのに。
あなたのような人が騎士団として戦いに出ること自体が迷惑って言ってるんですよ。
それがわからないようでは痛い目に合うしかないんじゃあないですかねぇ……?」
と、ネシェラとロイドはそいつらに取り囲まれた。
「あら、そう。ご忠告ありがとう。
でも安心して、そんなんで簡単にくたばる私じゃあないからね。
そんなことより、自分たちの心配を先にしたらどうかしら?」
ロイドは悩んでいた。
「俺は黙って見ていようか」
そしてそう言いつつその場からそっと下がると――
「あーあ、ロイドさんにまで見放されて……どうする気ですかー?」
騎士たちはバカにしているが、ネシェラは呆れていた。
「やれやれ、こんなことしたくなかったけど、仕方がないわね――」
するとネシェラはその場から目にも止まらないような身のこなしで騎士がネシェラを襲撃するよりも先に懐に入ると、
一人、一人、また一人と顎下からのアッパーカットをそれぞれ見舞ってノックアウトしてしまった!
「ったく。
エラソーな口を叩く前に、まずはそれだけの実力をつけてもらってくんないかしら?
あんたたちみたいなのが私らの手駒だなんて語るには10,000年早いのよ。
それと、言っとくけどこれでも執行官なのよ、
だから次に減らず口を叩くようなら正式に執行官になった後にあんたたちを騎士の適正なしと認めて首にするからそのつもりでいろよな?」
といってもこれが安定のネシェラ様、別に何も特別なことではなかった。
「それに見放したわけじゃねえ、危ないから引っ込んでいただけだ。
言っとくが、俺の知る限りじゃあ妹の”ハヤブサ・アタック”は最強クラスの性能だ、
ウィング・マスター・クラスの得意技ではあるが、その中でも真髄と言ってもいい――何処で教わったんだか……。
こんな女に社交辞令の点数をつける必要はないと思うが……どうだろうか?」
ロイドは偉そうな態度でそう語ると、ネシェラは最強クラスの性能の”ハヤブサ・アタック”を駆使してロイドの懐に大接近、甘えてきた。
「わぁーん♪ 怖いわお兄様ぁ♪ 助けてちょうだいな♥」
ロイドは呆れていた。
「何から助けろと?」
つか、今のはパワハラじゃないよな? 見習い……正式に執行官になったわけじゃないからギリギリセーフ……か……?
レッサーロプロスとの戦い、なんとか善戦しているロイドだが劣勢を敷かれていた。
「ちっ、冷気魔法かっ――」
レッサーロプロスは大きな雪のつぶてによる嵐を巻き起こした!
「くそっ!」
そしてそこへレッサーロプロスは隙だらけのロイドに対して勢いよく体当たり! だが――
「もらった!」
その動作はまさにネシェラが最強クラスの性能の”ハヤブサ・アタック”の過程でスライドダッシュで華麗に相手の懐へと入り込むにも近い動作――
ロイドはその瞬間を狙っていた!
「ネシェラと違って図体だけはデカイからな! 決まりやすかったぜ!」
ロイドの剣は闇魔法の力と共にレッサーロプロスの身体を貫いていた! だがしかし――
「うぐっ……抵抗しやがるかっ、くそっ!」
レッサーロプロスの尻尾はをロイドの胸を差し込んでいた!
「毒か……だが、貴様だけはこの場で片付けてやる!」
ロイドは闇魔法のパワーを上げていった!
「さあ、先にアビスに送ってやるぜ! デッドリィィィィィ・ドライバァァァァァ!」
ロイドはそのまま豪快なスイングを決めると、レッサーロプロスを力の限り吹き飛ばした!
レッサーロプロスは地面に堕ちるとそのまま息絶えた――。
「けっ! 面倒かけさせやがって!」
だが、ロイドはその場で剣を地面に突きさすと、その場で倒れてしまった――。
「だが――どうやらこれまでのようだな……みんな……ネシェラ……悪いな――」