アーカネリアス・ストーリー

第5章 深淵へ……

第119節 リアントスの怒り

 リアントスとセレイナの2人はそのまま地下へと潜って行った。すると――
「なっ!? こんなところにまで魔物がいるのか!?」
 リアントスは驚いた。そしてボウガンを取り出して魔物を次々と蹴散らしていた。
「はっ! やぁっ! たぁっ!」
 そしてセレイナも剣を取り出すと、魔法を使いながら魔物に接近し、 最後に魔物にトドメを指していた。
「なんか、妙に強い魔物がいるようだな、2人で来るのは失敗だったか――まあいい。 大丈夫かセレイナ?」
 リアントスはそう訊くとセレイナはにっこりとして返した。
「はい! 私は大丈夫です! リアントスさんは?」
「ああ、平気だ。さあ、行くぞ――」
 しかしその時――
「きゃあ!」
 今度はトカゲのような魔物が――
「おっ? どうした!?」
 セレイナはいきなり出てきたそいつに驚き、リアントスの後ろに隠れてしまった。
「えっ、こういうのはダメなのか――」
 リアントスは何食わぬ顔でトカゲを打ち抜いていた。
「おい、斃したぞ――」
 だが、セレイナは両手でリアントスの手をしっかりと強く握っていた。
「マジかよ、参ったな――」
 リアントスは悩んでいた。

 リアントスはなんとかセレイナをなだめ、そしてセレイナはなんとか耐性を付けていた。
「あっちに行ってください!」
 セレイナはトカゲ相手に冷気魔法を振るって遠ざけていた。
「虫は苦手じゃないんだよなぁ……ライアやレオーナはギャアギャア言ってたのに――」
 リアントスは悩んでいた。それもそのはず、彼女は――

 そして、そのうち遺跡の最深部へとやってきた2人。
「広い部屋だな、行き止まりか?」
 すると、セレイナが気が付いた。
「リアントスさん! あそこにあるのがその”黄金の鍵”ではないですか!?」
 部屋の真ん中には祭壇のようなものがあり、まさに鍵のようなものがおいてあった。
「マジで”鍵”なのかよ。まあいい、さっさと持ち帰るだけだな――」
 そういいつつ、リアントスは鍵に触れようとしていたが――
「ん? なんだこれ、取れないぞ?」
 セレイナは気が付いた。
「魔法で封印されているようです! ちょっと待ってください――」
 セレイナは鍵の上に手をかざすと――
「大丈夫です、そんなに難しい封印ではないみたいです。これなら解けそうです!」
 すると――
「よし、サンキュー、セレイナ!」
 封印が解けた後、リアントスは鍵を取り出してそう言うと、セレイナは嬉しそうだった。
「よし、さっさと帰ろうぜ――」
 だが、その時――
「えっ!?」
 背後から不穏な空気が!
「リアントスさん! 危ない!」
 セレイナはリアントスを突き飛ばした!
「うおっ!? なっ!?」
 その時、彼女の背後に強烈な魔法が浴びせられた!
「いやあああああ!」
 セレイナはその場で崩れてしまった――。

 リアントスはすぐさま構えた。
「セレイナ! くそっ、なんなんだこいつは!」
 そこには、人間のような姿をした魔物が――
「なるほど――こいつが意識まで魔法に汚染されてしまっているってやつか――」
 さらにそいつは魔法を次々と打ってくるが――
「ちっ、マジかよ、すげー魔力だな……」
 リアントスは一応魔法バリアを張りながらもなんとか避けていた。
「もらったぜ! こいつならどうだっ!」
 リアントスは僅かなスキをついてボウガンを放った! すると魔物に命中!
「ったく、手間を取らせやがって――」
 リアントスはセレイナの剣を取り出して魔物に接近していた。 リアントスは魔物相手に完全に丸腰で佇んでいたが――
「どうした? 魔法を打ってこないのか?」
 魔物は魔法を打とうとしているが放つことができない!  するとリアントスはそいつに向かって振りかぶり――
「だろうな、魔封じの矢が食い込んでいるからな。そしたら次は俺の番だ!」
 リアントスは魔物を力の限り両断した。

 リアントスは慌ててセレイナの元へと駆け寄った。
「おい! 大丈夫か!?」
 するとセレイナはか細い声で答えた。
「リアントスさん……ご無事……ですか……?」
「俺は大丈夫だ! そんなことよりセレイナ! 今助けてやるからな! えっと――」
 リアントスは必至になって回復魔法を使おうとしていた。すると――
「リアントスさん……わた……し……嬉しい……リアン……トス……さん……一緒……とっても……」
 明らかに弱っている。 それに、背中の傷は……酷いやけどだ、だが、医者に見せれば何とか助かりそうか……?  ところが――
「ん? なんだ? どうした!?」
 なんと、彼女の身体は徐々に徐々に小さくなっていった――
「えっ!?」
 彼女の魔法の力が弱まっていく――光の魔法が……
「ちょっ! ちょっと待ってろ! ええっと……こうか!」
 リアントスは雷の魔法で光を展開した! だが、その場にセレイナの姿は何処にもなかった。 代わりに、彼女がいた場所にいたのは何処からどう見ても――
「なっ!? まっ、まさかセレイナって――」
 そう、彼は彼女の正体をこの時初めて知ったのだった。