アルティニア、雪の街道を少し戻ると南側にも街道が伸びている場所があった。
「ここ?」
吹雪で荒れている中、ライアがそう訊くとロイドは答えた。
「そこだ。帰りは吹雪が止んでいるといいが、とりあえず、しばらくは進んでいくしかないな」
アムレイナは訊いた。
「この先は私も行ったことがありませんね。
さぞ、素敵な光景が広がっているのでしょうね――」
そう言われてライアの心も踊っていた。
「確かに、”彩りの大地”だなんて……なんとも素敵な響きがする場所ね!
でも……ここはこんな猛吹雪なのに、そこに出た途端に天気が変わるって言うのもなんだか妙な感じかも――」
ネシェラは頷いた。
「確かにね。
やっぱり、”エターニス”は精霊の土地だから、そういうことを可能にしているってわけなのよね。」
そして……吹雪を抜けると、やがて天気は晴れていき、そこにはなんとも素敵な光景が!
「素敵! こんな光景が広がっているだなんて!」
ライアは感動していた。
街道はしばらくは白い雪の様相だが、そこを下っていくと色とりどりの花々が咲き乱れている土地が現れた。
そのバックには海が広がっており、まさに見事な光景である。そして――
「あれがエターニスですか?」
アムレイナはそう訊いた、色とりどりに咲き乱れる草原の中央には大きな森が広がっていた。
「そうです、あそこが私らの故郷であるエターニスがある森ですね――」
サイスはそう言った。なるほど、この3人はあそこで生まれたということか、アムレイナとライアはそう思った。
「上級エレメンタルっていうのが現れるんですって?」
ネシェラは頷いた。
「ええ。私も当時はどうやって斃したのか、小さい頃のことだから全く覚えていないけど、
普通は出くわしたらヤバイ魔物だから、用が済んだらさっさと戻ることにしましょ。」
そういいつつ、ネシェラは坂を下って行った。
「そうですね、たとえどのような土地でも魔物はつきもの――そういうことですね。
行きましょうか――」
アムレイナはそう言った。
ところ変わってリオルダート島、リアントスは眠そうな顔で家の中で過ごしていた。
「休みをもらったからってやることが何にもねえもんだな……」
そう考えながら窓から外を眺めていると、彼の目に映ったのは――
「ん、あれは……そういえば――」
リアントスはとある言葉が脳裏をよぎった、それは――
「いやあ、ちょっとした助言をね。
もちろん、キミのその腕についてとやかく言うつもりはないよ。
ただ――キミにはそのうち”黄金の鍵”が必要になる……と言いたかっただけさ」
スクライトに言われた言葉だった、”黄金の鍵”――
「なんなんだよ、”黄金の鍵”って――」
リアントスは呆れていた。
どうしても気になっていたリアントスはそのまま先ほど見えていた場所へとやってきた。
そこはオルダート家の敷地の中にあるもので、蔵のような建物だった。
「”黄金の鍵”とやらはこの中にある――それは知っているんだが、それ以外のことはなんも知らされていないんだよなぁ――」
リアントスは悩んでいた。
そう、その”黄金の鍵”は彼の家で代々管理しているものだった。
「まあいい、うちで預かっているものってんだから持ち出したとて、
誰ももんくは言わねえだろう、うちのものなんだしな――」
そしてリアントスは蔵の錠前の鍵を開け、扉を開けると――
「なっ!? なんだ!? まさか、地下に通じてるとでもいうのか!?」
ただの蔵というより、どうやら地下迷宮という感じらしく、入ってすぐ地下のほうに伸びていた。
「ったく、仕方がねえな、えっと――」
リアントスは悩みつつ、魔法を使おうとすると、その後ろから――
「これでよろしいですか?」
と、まさかのセレイナが、光の魔法を使って灯りを展開していた。
「えっ!? どうしたんだ? 海を見に行ってたんじゃないのか?」
セレイナは顔を赤くして恥ずかしそうに言った。
「いえ、その――ちょっと迷ってしまいまして――
それで諦めて戻ってきたらリアントスさんがこちらにいたものですから――」
そうだったのか、リアントスは悩んでいた。
「アーカネルと違って道が複雑だからな。
まあいい、その――できればその魔法の力を借りたいんだが――」
リアントスはそう言うとセレイナは嬉しそうにしていた。
「はい♪ お任せください♪」