アーカネリアス・ストーリー

第4章 争乱の世

第104節 魔の力に対抗する者

 それからだいぶ月日が流れ――
「よし、いっちょ上がりだな――」
 ロイドは魔物を討伐していた。 そしてとある場所に戻ってくると、そこにはリアントスがいた。
「よう、早いな――」
 ロイドは感心しながら訊くとリアントスは頷いた。
「よう。 こっちの魔物は雑魚ばっかりだったからな。 しかも空飛ぶやつばっかりだった――魔物はいたが敵はいなかったってだけの話だな」
 それよりも――ロイドは周りを見渡していた。
「なあ、ネシェラは戻ってきてねぇのか?」
 そう言われてみると――リアントスは気になっていた。
「あの跳ねっ返りが、いつも得意げな態度で先回りしているハズなのにいないのも確かに不思議だな――」

 いくらなんでもネシェラにしてはやたらと遅いので2人は彼女を探すことにした。 ところが――
「なっ!? なんだこいつは!?」
 リアントスは異形の魔物に驚いていた。
「何っ!? エレメンタルかっ!? ちっ、厄介なのが現れやがったな――」
 そう聴いてリアントスは驚いていた。
「こっ、こいつが噂のエレメンタルってやつか! 確かに、物理的な得物は通さないように見えるが―― お宅らお得意の魔法ならいけるってわけか?」
 ロイドは魔法で振り払った、すると――
「待て、何かいるぞ――」
 ロイドは耳を澄ましていた。リアントスも聴いていると、
「この奥じゃないか?」

 するとそこに――
「ネシェラ! 無事か!?」
「おい! どうしたんだ!」
 ロイドとリアントスがそう言いながらやってくるが、周囲にはエレメンタルが――
「ったく! なんなのよこいつら! いきなり現れなくたっていいでしょ!」
 ネシェラはそいつらに立ち向かっていた。
「また魔法!? いい加減にしなさいよ! 一方的にさあ!」
 と、ネシェラは構えていると、後ろから――
「痛っ!? ちょっと!」
 彼女の背後に向かって魔法が直撃! だが――
「後ろからなんてあんまりでしょ! 正々堂々と勝負しろよ! こんの卑怯者が!」
 ネシェラの反撃! 魔法をやり返してエレメンタルを吹き飛ばした!
「お前の妹、やべえ妹だな、相変わらず……」
「確かに、魔法がびくともしない妹……なんか、いよいよわからなくなってきたな――」

 そして、また時が変わってあの時も――
「うわっ……こんなところにまで魔物がいるのね――」
 サンダー・フールの背後にネシェラが佇んでいた。
「あっ! あなた! 気を付けて! こいつらはただの魔物じゃないのよ!」
 ライアはネシェラに注意を促したが、魔物の矛先は彼女に――
「しまった! 危ないから逃げて!」
 ライアはさらに彼女に注意したが――
「へぇ、私とやろうってわけ? 私も甘く見られたものね。」
 彼女は得意げに言うと、どこからともなく槍を取り出した。
「悪いけど、こちとらちょっと急ぎなのよ、だからもし死んじゃったりしたら――命は諦めてね♪」
 すると――
「……えっ!?」
 彼女は一瞬にして姿を消すと、1体のサンダー・フールに強襲! 瞬時に1体を消し飛ばした!  そしたらサンダー・フールたちは次々と彼女めがけて魔法を乱射!
「やばい! その力は危険よ! 逃げて!」
 ライアはそう言うが、ネシェラは真正面からサンダー・フールの魔法を受けていた! ところが――
「ふっふっふっふっふ……その程度のものが……そんなバカの一つ覚えがこの私に効くと思ってか!」
 なんと、ネシェラには全く魔法が通じていない!?
「魔法っていうのは――こうやって使うのよ!」
 なんと、彼女の全身からものすごい風が発揮された!  すると、サンダー・フールたちは次々とズタズタに切り裂かれていった!

 さらについ最近にはこんなことまで――
「ふう、流石ですね、ネシェラさん……参りました――」
 訓練施設にて、ランブルとネシェラが剣を交わしていたが、ランブルでは全く歯が立たなかった、そりゃそうだ。 するとそこへアレスが――
「えっ――ランブルさん? どうしてです? いつものように魔法で応戦しないんですか?  俺の時はいつも使ってきましたよね、それなのにどうして?」
 ランブルは首を振った。
「そんな、無駄なことしたって仕方がないじゃないですか、だからしなかっただけです」
 えっ、ムダって!? シュタルとランバートが首をかしげていると、ネシェラは頷いた。
「いいわよ、見せてあげましょう、ランブル――」
 彼女はそう促すと、ランブルも頷いた。
「わかりました。それではいきますよ!」
 ランブルは魔力を集中させ、そしてそれをただ得意げにたたずんでいるだけのネシェラめがけて思いっきり浴びせつけた!
「……えっ!?」
 それには流石に遠目から見ていて驚いたライアは慌てていた。
「ちょっと! 何がどうしたって言うのよ、ランブル! ネシェラになんてことをするの!」
 それに対してランブルは悪びれた様子で答えた。
「すみません、少し驚かせちゃったみたいですね。でも大丈夫ですよ、ほら――」
 ランブルは魔法をやめると、ネシェラの方向に指をさした、すると――
「そうよ、何にも問題ないわ。要はこういうことなのよ、わかったかしら?」
 ……全然魔法が効いているようではない。
「えっ、痛いとか感じないの?」
 ライアは訊くとネシェラは頷いた。
「まっ、多少はね?  でも――そんな致命的っていうほど痛い感じではないわね。 確かに、もっと強い魔力だと痛いって感じるんだろうけどさ――」

 そうであるがゆえに、グリフォンの強烈な魔法を受けても――
「ふふん、そんな小技が私に効くわけないでしょーがバーカ!」
 サンダー・フールの雷を集中的に浴びせられても――
「よくもやったわねぇ? そしたら今度は次は私の番ね……」
 エレメンタルの激しい魔法を受けても――
「はいはい痛い痛い。ウザイからそろそろ終わりでいいよね?」
 さらには伝説の悪魔と呼ばれるウロボロスの破壊の光を受けても――
「だから熱いって言ってんでしょ!? いい加減にしろよ! 伝説の悪魔だか何だか知らないけどさ!」
 彼女にはまともに魔法が効かないのである。
「ウソだろ……ネシェラならいつものことだからそこまで驚きもしねぇんだが、 あんなあからさまにヤバイやつの魔法すら効かねえのかよ――どうなってるんだ……」
 リアントスは唖然としていた。
「まったくだ……」
 ロイドは頭を抱えていた。