精霊たちが集まっているところへ3人はやってきた。
「まさか、森の外にまで行ったんじゃあないだろうな――」
ティバリスは心配しながら言うと1人の精霊が答えた。
「わかりません。すみません、目を離したすきに――」
ティバリスは首を振った。
「あのお転婆娘はふとしたすきにいなくなっちまうからな、だからこれは俺のミスでもある……。
とにかく、悪いけどみんなで手分けして探してくれないか?」
だが、その時――
「森の外からそれらしい生命体がいるのを感じます!」
ランブルはそう言うとティバリスは慌てて駆けつけた。
森の外、色とりどりの草花の咲き乱れる大地の上で幼いお転婆娘がはしゃいでいた。
「ったく――ナフィア、お前も昔はお転婆だったらしいな――」
ティバリスは安心したような面持ちでそう呟くとネシェラに近づこうとしていた、だがその時――
「ん? なんだ?」
なんと、ネシェラの周りに突然魔物が取り囲んだ!
「なっ!? ネシェラ!」
これはマズイ! 相手はエレメンタル、しかもなかなか大きなガタイの存在――
”上級エレメンタル”といったところか……ティバリスは悩んでいた。
姿形はまさに異形ともいうべき存在だが、エターニスではこの手の魔物は当たり前、
まさに体のない存在――なんと表現してみようもないが、
ある意味魔法のようなものだけで身体を形成している存在がうごめいている感じである。
「ちっ、そういえば上級エレメンタル警報が出ていたな――こんなタイミングで出くわすとは――」
すると、そのエレメンタルはティバリスめがけて魔法を飛ばしてきた!
「うわっ! くっ――強い魔力だ、流石は上級エレメンタル――」
ティバリスは被弾したところを手で押さえていた。
しかし、悪いことは続き――
「……ん? おい! よせ! やめろ!」
今度はなんと、エレメンタルはネシェラめがけて魔法を発射!
「ネシェラ! ネシェラー!」
ティバリスの悲痛な叫び声が――
「ティバリスさん!? 一体何が――」
後から駆けつけてきた精霊たち、だが、その光景は――
「えっ!? そっ、そんな!」
なんと、ネシェラはエレメンタルの魔法攻撃を集中的に浴びているではないか!
「やめろ! やめてくれ! 頼むから俺の娘の命だけは――!」
ティバリスはそう言いつつ、エレメンタルの元へと恐る恐る近づいていった、だが――
「ダメです! ティバリスさん! 近づいたらあなたまで危険な目にあいます!」
「うるさい! 放せ! 俺にとってはテメェの命なんかよりも自分のガキのほうがはるかに大事だ! 俺の身がどうなろうと知ったこっちゃない!」
ティバリスは精霊たちに抑えられているが、それを振り切ってまで娘ネシェラの元へと近づこうとしていた。
ところが――
「エヘヘ! エヘヘヘヘ! キャッ♪ キャッ♪」
ネシェラはなんだか楽しそうだ……。
「ティバリスさん……? あの、あれ――」
ランブルはそんな彼女の様子をティバリスに伝えると――
「なっ……? どういうことだ……? 上級エレメンタルの魔法を食らっているってのに、なんであんなに平然としていられるんだ……?」
すると今度はなんと!
「うわっ! 今度はなんだ!?」
そのあたり一帯に激しい竜巻が!
「なっ……今度はなんだ! くそっ、ネシェラ――助けてやるから待ってろ――」
ティバリスは激しい風を何とかかき分けながら向かおうとするが、あまりの激しさに進むことができなかった。
「くっ、ネシェラ――待ってろ、ネシェラ――」
その時、ランブルは気が付いた。
「この風の魔法――まさか、ナフィアさんの……!?」
ナフィア!? ティバリスは気が付いた。
「こっ、こいつは確かに……だが、どういうことだ!?」
ティバリスは悩んでいた。すると――
「見てください! 上級エレメンタルが風の魔法に対してひるんでいます!」
1人の精霊が言った。
「まさか! ということは少なくともやつの魔法ではないということか!?」
その時、その上級エレメンタルは思いっきり吹き飛ばされていった!
「すごい……上級エレメンタルをものともせずに……この力はどこから……?」
すると、竜巻は次第に収まっていくと、竜巻の中心にはあのお転婆な女の子が――
「ん……ネシェラ! ネシェラ、大丈夫か!?」
話しかけても反応がなかった――ティバリスは涙ながらに訴えようとしていたが、ランブルは気が付いた。
「あれ……? なぁんだ……ティバリスさん安心してください、彼女、寝ているだけのようです――」
ティバリスはあっけにとられていた。
「おいおい、マジかよ……大したやつだなお前……」