アーカネリアス・ストーリー

第4章 争乱の世

第91節 草食獣の猛攻

 そして、一行は警戒しながら進んでいると、問題のそれがついに姿を現した。
「うおらぁあああ!」
 何者かが雄たけびを上げている……明らかに一戦を交えている様子だった。
「近い! 行くか!?」
 アレスはそう訊くとロイドは「ああ……」と返事するが――
「どうしたネシェラ?」
 ロイドはそう訊いた。
「いいえ、状況的に恐らく不可避案件ね、行きましょ――」
 と、ネシェラは呆れた様子でそう言いつつ現場のほうへと向かった。
「どっ、どういうことだ……?」
 アレスは戸惑っているとディライドが答えた。
「嫌な予感がする――でも、ここで躊躇っていても後の祭りってことだな」
 流石は皆さんよくご存じで。そう言われてアレスを初め、何人かは覚悟して行った。

 一行は意を決して進むとそこは開けており、その中央にはなんだか大きな白い丸い物体が――
「なっ、なんだこれは……!?」
 その大きなものに対して圧倒されていた一行、その大きさ、ゆうに2メートルはくだらない大きさだった。 それに対してライアは気が付いた。
「これは――毛?」
 丸い物体からは無数の毛が生えていたようだ、つまり、白い毛の生えた丸い物体――
「なっ、なんなんだこれは!?」
 ロイドを初め、何人かはただひたすら驚いていた。すると、何処からともなく声が――
「なんだお前ら――お前らまでこの俺とやり合おうってぇのか……!?」
 えっ!? なんだなんだ!? どことなく可愛げがあるような声にも聞こえなくもないが、 それにしては妙にドスの利いたそのセリフに全員身構えていた。
「何処にいやがる! 出てきやがれ!」
 スティアはそう叫ぶが――
「はぁ!? 出てこいだと!? テメェの目は節穴かぁ!? 俺はお前らの目の前にいるだろうが!」
 えっ……でも、目の前にあるものといえば、毛の生えた大きな白い丸い物体ぐらいしか―― と思った矢先、その物体はゆっくりと動き出すと、脚のようなものが。 そして、ゆっくりとそれはこちらを向くと額から大きくて立派な角が生えているウサギのような顔をしているが、 その顔はなんだか怒りに満ち溢れていたようだった。
「なっ!? なんだこいつは!?」
 そいつには全員驚かされていた。
「うらぁあああ! テメェらまとめてあの世に放り込んでくれる! 覚悟しやがれ!」
 ウサギは大槍を取り出すと、頭上に抱えてそう言い放ち、一行に襲い掛かってきた!
「……まっ、いいか。」
 ネシェラは呆れていた。

 そのウサギはとてつもないパワーでぶつかってきた!
「こいつっ! いつぞやのザラマンデルとは比較にならねえな……」
 リアントスはボウガンを狙いを定めるも、彼が射貫くよりも早くに目の前まで接近しており、大槍で勢いよく薙ぎ払った!
「ぐはぁっ! つっ、強い――」
「そこもだ! オルァ!」
 ウサギは大槍をアレスめがけて投げ飛ばした!
「うわぁっ!」
 アレスは槍が盾にぶつかった反動でそのまま盾を落としてしまった!
「死ねっ!」
 そしてそのままアレスに向かって突進!
「うわぁっ!」
 アレスは轢き飛ばされてしまった!
「このやろっ! ハイ・スティング・ゾーン!」
 ロイドも果敢に攻めるも、ウサギは――
「ぐはっ! んだこのやろっ!」
 槍を使ってうまくガードしつつ、そのままロイドめがけて真正面から突進!
「もらったっ!」
 ロイドはそのままハイ・スティング・ゾーンを決めようとしたその矢先――
「そいつは俺のセリフだぜ!」
 ウサギは即座に身を後退してかわすと、力をためた!
「いくぜ! 必殺・ライトニング・ロード!」
 ウサギは激しい雷をまとった激しい体当たりを繰り出し、まさに光のごときスピードを以てロイドを貫いた!
「なっ!? ぐはぁっ――」
 ロイドは勢いよくぶっ飛ばされると、そのまま地に落ちた……。 するとそこへ――
「くっ! このっ! フリーズ・ブラスト!」
 ライアの冷気魔法攻撃!
「あたっ! なっ!?」
 ウサギの後頭部にヒット! ウサギは驚いて振り向くと、ライアは驚いていた。
「うっ、くっ……」
 ライアはどうするか戸惑っていたが、そこへディライドが――
「おっと、俺が相手をしてやる、さあ――」
 だがしかし――
「ブレイズ・デッド・ブレイド!」
 ウサギは今度は煉獄の炎をまとって激しい体当たりをぶちかました!
「ぐはあ!」
 ディライドまでやられてしまった――
「なっ、なんてこと! こうなったら――」
 ライアは覚悟して剣を構えると、彼女の目の前にはネシェラが現れた。
「大丈夫よ大丈夫。こいつ、私らには絶対に本気出さないから。 そういうわけでそろそろ痛い目にあってもらおうかしら。」
 えっ、どういうこと? ライアは首をかしげていた。
「さ、そろそろお仕置きが必要ね――」
 ネシェラは物干しざおを突き出しながら言った。