だが――森の中にはまさかのキラー・スネークたちがウヨウヨと跋扈してる光景が見えた。
見るからにまさに大蛇そのものだが、古の竜と言われればそれもなんだか頷けるような装いのモンスターだった。
「んだよ、冗談きついな……ごく一般のモブ扱いじゃないか……」
リアントスは唖然としていた。するとネシェラが言った。
「あんなんがウヨウヨとしているということは、恐らくこの森には真のヌシがいるってわけね……」
マジかよ! 何人かは絶句しているとロイドは頷いた。
「その辺にいるのは所謂下っ端ってところだ、ヌシに勝てないからその席を譲っているってわけだ。
その席からあぶれているからこそウヨウヨとしているのであって、この先このぐらい斃せねえとヤバイってわけだな」
そう言われて全員で覚悟していた。
「なるほどな、いいだろう。
せっかく魔法まで使えるようになっていろいろとできるようになったわけだしな。
ちょうどいい的だ、やってやろうじゃねえか」
リアントスは少々得意げだった。
「いよーし! それなら私も一斉に切り刻んじゃうんだからね!」
シュタルも得意げに構えていた。つまり、戦闘開始である。
そして……
「ちょいと骨は折れたが、とりあえずは掃除完了ってところだな」
と、リアントスは得意げに言いつつ、スティアを馬車の荷台に放り込んでいた。
それ以外にも何人かは息を切らしている様子だが、ロイドは考えていた。
「どうかした?」
ライアは訊いた。
「これだけ大暴れしてりゃあヌシが現れるかもなって思ってな。
もし、それがとんでもないやつだったら森をさっさと抜けたほうがよさそうだな」
だが、
「えぇっ……ちょっと待てよ、流石にこれだけの相手をして……」
アレスは息を切らしていた、休みたいらしい。
「こいつは参ったな、まだ旅に出たばかりだってのに。
たとえ森から出られても、しばらくは休めないハズだぞ。
そもそも宿場町もないんだ、夜を徹しての軍行になるハズだ、止まってなんていられるハズがないんだが――」
と、ロイドは言った……えっ、休みなし!?
「そりゃあそうでしょ、変なところで休んでたら魔物に狙われて人生終了コースに決まってんでしょ。
もちろん平原上の街道沿いの宿場町なんかももれなく魔物にやられているハズだからこの地方で休める場所はないものと思ったほうがいいわね。
それこそ、場合によってはアルトレイもしかりよ。」
と、ネシェラが追い打ちをかけるかのように言った、そんな……何人かは悩んでいるが、ロイドは呆れ気味に言った。
「ちょっと脅しすぎちまったな。
ネシェラ、そろそろ安心させてやろうぜ」
えっ、なに? するとネシェラは得意げに答えた。
「ふふっ……私がそんなヘマをするわけないでしょ。
そうなることを見越してきちんと用意だけはしてあんのよ。」
それはなんと、結界付きのコテージのようなものらしい……
「ただ、結界の効力が例によって広いところでないと効果がないのがねぇ。
町が襲われにくいのと同じ原理で魔物の性質をフルに利用している。
だから、せめてアーカネルの立地条件とまでは言わないまでも、
ある程度は広いところでないとお休みできないからさっさと森から脱出するわよ。」
少なくとも、さっさと森から出ないといけないってことらしい。
「なっ、なら……少しぐらい我慢するか――」
アレスは少しの間だと思って先を急ぐことにした。