ロイドは剣を持って構えていた。そこへリアントスも現れ――
「マジやんのか?」
「いつものことだ。ただ――今回からはハード・モードになるけどな」
と、ロイドが言うと、リアントスも続けた。
「そうか。なら、ベリー・ハードにしてやるか」
と言われ、リアントスもボウガンを構えていた。すると――
「面白そうなことしているのね。これなら何モード?」
と、ネシェラが現れると彼女も大剣を持って構えていた。
「ナイトメアだろ」
「異論なし」
ロイドとリアントスはそう答えた――いやいや、ルナティックじゃないの?
それは何の話かというと――
「まとめて飛べ!」
ロイドは衝撃波を発生してまとめて攻撃!
「うわああああ!」
騎士たちを一網打尽に!
「ぶっ飛ばしてやるぜ!」
リアントスは雷光を発射してまとめて攻撃!
「うわああああ!」
騎士たちを一網打尽に!
「飛びなさいな!」
ネシェラは風の刃を飛ばしてまとめて攻撃!
「うわああああ!」
騎士たちを一網打尽に!
「あらあら、やっているわねぇ……あの3人相手にアーカネルの騎士が勝てるわけないでしょう――」
と、ライアはその光景を見て呆れていた。
そう、彼らは修練の一環としてアーカネル騎士たち複数人を相手取り、ボコボコにしていたのだった。
つまり、ルナティック・モードである。
「お互いに真剣を持っているようだけど――大丈夫なのか?」
アレスは心配しているとセレイナは答えた。
「騎士さんたちは真剣そのままなのでなんとも言えませんが、
ネシェラさんたちの武器のほうは”刃無しの珠”を装着していますので大丈夫なはずです!」
”刃無しの珠”? するとライアは気が付いた。
「確かに3人が持っている武器すべてに紫色の宝珠のようなものが取り付けられているけど――あれがそうなの?」
セレイナは答えた。
「はい! そうです!
ネシェラさんが武具に宝珠用の”スロット”をつけて特殊効果をつけましょうっておっしゃられたので、
それを実現した結果なんですよ!」
まーた新しいことを始めたのね。
それにしても”刃無しの珠”の効果のせいで死人が出ないからってえげつないことを考えるもんだ。
「ふーむ、”魔導の力”……伝承でしか知り得ない我々ではまさに無力ということか。
今後はその力を用いての戦いが主流になるということだな――」
なんと、あのディアス将軍までもが3人を前にして膝をついていた。
「世の中の魔物もここまで来ているからな。
俺はこの状況を打破するために協力は一切惜しまないつもりだ、
アーカネル騎士としてはもちろんだが、エターニスのライト・エルフとしてもな――」
と、ロイドは大剣を肩に乗せつつディアスに手を差し伸べると、ディアスはその手をつかんで立ち上がった。
「我々は心強い味方を得たな――」
と、言うことで――
「何かデータが得られたか?」
ロイドはそう訊くとネシェラは答えた。
「そうねぇ……データから見て見ると、騎士団の守りのほうに関しては確かなものみたいだけど、
純粋に魔法に対して負け気味なのは否めないわね。」
ネシェラはグラフを見ながらそう言った、今の戦いのデータを機械で観測して統計データとして記録していたようだ。
「やっぱり、まだ始まったばっかりだからこんなもんだというわけか」
リアントスは言うがネシェラは――
「いいえ、むしろ私らの力が強すぎてお手上げ感が強いわね。
ちなみにこのプロットは私らの攻撃データだけど――どう考えても力が過剰気味であることを示しているわね。
自分の実戦値データを取るなんて言うのはなんだか斬新な感じがするけど、
こうもはっきりと”あんたは強い”なんてデータで出されるのもなんだか面白いわね。」
「まあ、確かに――それはそれで何とも複雑すぎる気がするが――」
リアントスは悩んでいた。
「でも、ということは流星の騎士団の能力は少なくともアーカネル騎士団の防御に勝っているというのは間違いないんじゃない?」
そうライアが言うとネシェラは気が付き、何か操作しつつ答えた。
「確かに物理面だけでも十分押していける数値が出ているわね。
ここに魔法の力を加えようものなら圧倒的な力がついてくわけか、なるほど――」
あっ、本当だ――アレスはじっと眺めて唖然としていた。
「しかも3人分の能力がはっきりと出ているみたいだけど――」
ネシェラは頷いた。
「ええ、間違いなく3人分ね、私とお兄様とリアントス兄様の3人分がはっきりとね。
ここまではっきり出るって言うのは3人とも魔法の使い手としてはかなり強力な使い手であるってことに間違いないわね。」
「んだよ、それって言うのはつまり、ヴァーティクス兄妹だけでなくて俺にも魔法の素質があるってことなのか?」
リアントスが訊くとセレイナは答えた。
「リアントスさんはなかなかの能力の持ち主だと思いますよ! 素質があるんでしょうね!」
マジか……リアントスは唖然としていた。
「個人差による部分だからな、それがたとえ魔法として打ち出そうがそうでなかろうが能力者としては十分なものを持っている、
お前はまさに俺らと同じエターニスのライト・エルフにも引けを取らない能力者だったってわけだな」
ロイドにそう言われると、リアントスは悩んでいた。
「まあ……それならそれでいいか……」
ある朝のこと――リアントスは城壁内のやぐらのようなところからボウガンを打って遠くの魔物を討ち飛ばしていた。
「よし、いただきだぜ♪」
リアントスは魔物を斃していた。
「やれやれ、たくさんいるな。待て待て、今打ち飛ばしてやるからな――」
と言いつつ構えると――
「リアントスさんはなかなかの能力の持ち主だと思いますよ! 素質があるんでしょうね!」
「お前はまさに俺らと同じエターニスのライト・エルフにも引けを取らない能力者だったってわけだな」
リアントスはそのまま微動だにしなかった、昨日言われたことに悩んでいたようだ。
「……素質か――焼き鳥の時も無我夢中で打っていたもんな、そしたらやつの背中にクリーンヒットしちまったし――」
すると、リアントスはボウガンを構えなおし、標的から少し下の位置を狙っていた。
「俺に素質があるんだったら――とことんやってやろうじゃねえか」
そしてリアントスは祈りを込めてボウガンを放つと、その弾道は狙い通り魔物の下の部分へと被弾し、そのまま――
「うわっ!? なっ、なんだ!?」
アーカネルの騎士兵士と、協力のために一緒にいるクロノリアの魔導士たちが驚いていた、魔物の付近で大爆発が起こったためである――
「よし、これなら狙った的以外にもまとめて攻撃できるな。
とりあえず、バースト・ブレッドとでもしておくか」
リアントスは得意げな態度で言った。するとそこへ例の厄介者が現れ――
「ほほう、これはこれは何とも見事なお手前だねぇ~」
げっ、こいつ……リアントスは身構えていた、例のスクライトである。
「なっ、何の用だよ――」
リアントスは警戒しながら言うとスクライトは答えた。
「いやあ、ちょっとした助言をね。
もちろん、キミのその腕についてとやかく言うつもりはないよ。
ただ――キミにはそのうち”黄金の鍵”が必要になる……と言いたかっただけさ」
そう言いつつスクライトは去って行った。
「”黄金の鍵”!? なんでそんなのが必要になるんだ? わけのわからんやつだ――」
リアントスは悩んでいた。