どんなチームでも最大で10人程度であることが多いのだが、
勢いに乗りに乗っている流星の騎士団はこれでなんと12名の団員がいることとなる。
但し、ネシェラはあくまで執行官でクレアも騎士ではないため、厳密に言うと10名である。
とまあ、そんなところでこの年のアーカネル騎士団の活動についてはこの時を持って終了とする。
もちろん、有事に備えて残っている者もいるが、そういうことでもない限りはこれで終わりとなる。
それに、アーカネルに本宅があるなどといった理由でそこで過ごす者も多いため、長期休みでも影響はないのである。
ただし――
「おいロイド、アルティニアに戻るんだったら届け出ないといけないぞ、
出てないみたいだから早く済ませておくんだな」
そう、遠方にいく場合は届け出が必要なのである、ランバートはそう促すが――
「俺もネシェラも戻るつもりはない」
えっ、なんでだよ、ランバートは聞こうとすると――
「うちは家に誰もいないんだ。
去年まではネシェラがあっちにいたんだが今年からこっちに来たからな、戻る必要もないんだ」
「えっ、母親は――」
「ネシェラを産んでから翌年に亡くなっている。
墓参りする場合はアルティニアでなくてエターニスに行くことになるが――
雪原を行くなら冬よりも夏のほうを取るからな。
それより、将軍殿は届け出なくていいのか?」
ランバートは感心していた。
「そっ――そうか、そうだったんだな――強い兄妹だ。
うちはエドモントンは近場だから届け出る必要がないんだ」
えっ、そうなのか? ロイドは訊いた。
「じゃあなんでシュタルは毎年出しているんだ? 夏休みも出してるぞ?」
えっ……ランバートは悩んでいた。
「あいつ――話聞いてねぇな――」
ロイドは意地が悪そうに言った。
「兄貴は兄貴らしく妹には”優しく”教えてやるんだぞ♪」
ランバートは言い返した。
「へぇ♪ ってことはロイドもそうしているんだな♪」
ロイドは何食わぬ顔で返した。
「そりゃそうだ、俺の妹はなんと言ってもあんたをほぼ毎日ボッコボコにこき使っているあの女だからな。
今頃あんたとこうして五体満足で話ができているのもひとえにそれをこなしてきている証拠だってことだ」
そうだった! こいつの妹にボコボコにされているんだった俺は……ランバートは頭を抱えていた――。
「なっ……なあロイド……お前ってすげぇやつだったんだな――」
「はぁ? 今頃気が付いたのか?」
ということで、シュタルとランバートは実家へと戻ってきた。
実家はまさに農家の家、大きいが原風景広がる長閑な茅葺の家である。
「お母さんただいま!」
「母さん! 戻ったぞ!」
母が家の中からやってきた。
「あら! 2人ともおかえりなさい! 今日あたり帰ってくるんじゃないかと思って待ってたところよ!」
後は家族水入らずである。
一方でライアはサイスとロイド、そしてネシェラとセレイナを連れて実家へと戻ろうとしていた。
「ごめんなさい、ちょっと大げさだったわね、不安だからって――」
ライアは謝っていたがロイドとネシェラは答えた。
「気にすんなって、あんたの姉貴には随分とお世話になったしな」
「そうよ、気にしないの。ライアとアルお姉様あっての私なんだからね。」
サイスとセレイナも言った。
「そろそろお母様交えたアルクレアの話をしないわけにはいきませんからね――」
「ライアさんのお母様もプリズム族なんですよね! あいさつさせてください!」
そして、アシュバール邸の家のベルに手をかけたライア、召使が出てくると、
召使はひどく驚いた様子で「お嬢様!」と叫び、家の中へと一度戻って行った。
その奥からやはりプリズム族由来の美しい女性――年齢があまり年を取っているように見えないような様相の女性が現れると、
とても嬉しそうな様子でライアのことをしっかりと抱きしめていた。
その様子にロイドとネシェラとセレイナはそれぞれ顔を見合わせ、嬉しそうにしていた。
「要らん心配だったようだな、戻るか――」
「そうね、取り越し苦労だったみたいね、邪魔者はさっさと退散あるのみ。」
「そうですね、帰りましょうか――」
と言いつつ、3人はティンダロス邸に戻ることに決めた。だが――
「あなたたち! 待って!」
お母様は3人を引き留めていた。
「うちの娘がだいぶお世話になったようですし、うちに上がっていきません?」
そこまで言われたら――断る理由もないので、3人は結局家に上がることにした。