2人でいろいろと話をしていた。
するとセレイナはさっき会った男の人たちについて訊いてきたので、
紹介がまだだったことを忘れていたネシェラはセレイナと一緒に2人のいるところへとやってきた。
するとその場には何人かが戻ってきていた。
「こっちのイケメンがロイド、私のお兄様なのよ。いい男でしょ♪」
ネシェラはそう言うとセレイナは少し嬉しそうにしていた。
「はい! カッコイイ方だと思います!
ロイドさんとアレスさん、ありがとうございました!」
えっ、何の話だ? 2人は首をかしげていると――
「あっ、その――面接の時間を頂いてありがとうございました!」
いや、別にそんな――気にしなくたって――2人は照れていた。
すると、その場にあの男がやってきた。
「よう、戻ってきたぜ――って、もう新規の採用が決まったのか」
リアントスだ。すると、セレイナは彼の姿を見て少々焦っている様子だった。
「ん? なんだ、どうした?」
すると彼女は――
「えっ!? あっ、いえ……すみません、急にびっくりしたものですから――」
というと、ネシェラが楽しそうに言った。
「セレイナってば本当に可愛い子なのよ、だからちゃんと仲良くしてあげてね。
もちろん! 不用意に手出ししようものなら即刻ハイキック食らわすからね!」
はい。怖いです。
「うーん……まあ――ネシェラとは正反対のタイプということは分かった」
リアントスはため息をついていた。
その日の夕食は全員でそろってご飯を食べていた。
当然、その際にセレイナのことを紹介し、後は各人で適当に過ごすと一日を終えることとなった。
そしてその夜――
「ふぅ……なんだかんだで疲れたわね。」
お風呂上りのネシェラ、部屋にはライアとシュタル、そしてクレアがいた。
「あら、どうしたの?」
ネシェラは訊いた。
「セレイナの結果がどうなったのかなって思って。まだ考査中?」
ライアは既に同じ部屋のベッドでぐっすりと眠っている彼女を見ながら言った。
彼女はこの日にアーカネルに来たばかり、長い旅で疲れているようだった。
しかし、ネシェラは何も言わずに考えていた。
「セレイナってすっごい美人だよね! ネシェラとライアにも劣らないぐらい!
うちに来てくれると嬉しいんだけどな――」
シュタルはそう言うとネシェラは――
「ねえクレア、彼女の魔力を確かめてもらっていいかな?」
そう言うと、クレアはセレイナにそっと近づき、彼女の身体にそっと触れていた。
すると――
「えっ!? なっ――なんですかこれは!?」
クレアはとても驚き、慌てて身体から離れていた。
「えっ!? どうしたの!? 何だっていうの!?」
ライアは困惑しているとネシェラは悩んでいた。
「やっぱり――私が感じたものも間違いなさそうね――」
クレアは訊いた。
「ネシェラさん! どういうことです!? 彼女は一体何者なんですか!?」
えっ、それこそどういうこと!? ライアとシュタルは訊いた。するとネシェラは――
「それは――私にもわからない。
でも――私とクレアが感じた限りだと、彼女はとんでもない量の魔法能力を備えているわね。
それもしかも私やクレアなんかの比にならないほどのとてつもない量よ――」
なんだって!? 2人は驚いた。
「どうしてそんな彼女がここにいるのかしら?
それが何とも気になるところだけど――」
ネシェラはセレイナのほうを向いてそう言うと、3人のほうへと向き直った。
「でも、そういうことだから彼女の処遇についてはもう決めたよ。
私ら流星の騎士団に加えることにしましょう。
騎士としての力はイマイチだけど、彼女の魔力だったらそれを十分覆せるほどの能力ね。
だから、サイス兄様にも彼女のことを説得しないと――」
それについてはライアが嬉しそうに言った。
「それなら心配いらないわ。
サイスさんなら、ネシェラがわざわざ個別に見ているぐらいだから、
最終判断まで任せるってことだったわ。
だから私たちと一緒に行くって言ったら多分それで話が通るんじゃないかしら?」
そうだった、サイスはネシェラの”カン”を信用していたから話はそれで終わりのはずである。
「あっ、そうなんだ。ということは――彼女は今から私たちの仲間ね!」
ネシェラはそう言うと、シュタルはやったー! と大きな声を上げていた――
「しーっ! 疲れて眠っているんだから起こさないであげて!」
ネシェラはそう注意した、シュタルは慌てて口を塞いでいた――前もやったなこの子。
ネシェラはセレイナが寝ているベッドに座った。
「約束だからね、今日は一緒に寝てあげることにしたのよ。」
これが安定のネシェラである。
「そっか――じゃあまた次にしよっと♪」
シュタルは楽しそうに言った、女性陣の間でのネシェラ人気がよくわかる一幕ではあるが、あんたいつもこのおねーさんに甘えているな。
そこへネシェラが気になったので訊いた。
「あのさ、ここ最近の男共の行動に特別なことってあった?」
どういうことだろうか、ライアは訊いた。
「いえ、特に何も変わったことはなかったような気がするけど――何か気になることでもあった?」
ネシェラは考えていた。
「うーん――、なんていうか、男共に対するセレイナの態度が妙に気になってね、
なんか、ありがとうとか、どうしたのかなって思ってさ――
セレイナ本人からもさっくりはぐらかされているあたり訊きづらいし、特に――」
特に――なんだろうか。
「……特に、リアントスに対するリアクションが気になるのよね――なんか恥ずかしそうというか――」
そうなの!? 3人は驚いていた。
「それって、セレイナがリアントスに気があるってこと!?」
ライアはそう訊くとネシェラは考えた。
「それはありそうだけどね。
でも、何かあったのかなって――最初の男共に対するお礼もなーんか引っかかるしさ――」
お礼か、お礼と言えば――シュタルは考えた。
「つながるかどうかわかんないけど、
少し前に男たちだけでブレイズ・フールを斃していたって聞いたことがあったね。
それで”ミラージュ・フライヤ”の親子を助けたことがあったって――」
えっ……ネシェラは驚いた。
「ミラージュ・フライヤ!? 助けた!?」
3人は頷いた。
「そういえばネシェラはこの話聞いてなかったわね――」
ライアはそう言った、ネシェラは魔物対峙としか聞かされていなかった。
するとネシェラは――
「まさかこの子!」
セレイナの身体をしっかりと抱きしめると――
「なるほど――そういうことだったのね!
この魔力、恐らくだけど間違いない! セレイナは恐らくミラージュ・フライヤ……この魔力量だとその話のうちの子供の方ね!
だからもしかして私たち……いえ、男共に恩義を感じて接触を図ろうと思ったのかもしれないわね!」
えっ、マジで――3人は唖然としていた。
「じゃっ、じゃあ――リアントスに好意を寄せているっていうのは、彼が最後まで諦めずにその子を守ったからってことなのね!」
ネシェラは得意げに言った。
「ええそう! それは間違いないわね。
つまり、囚われのお姫様セレイナと、彼女をその魔の手から救った勇者リアントスの恋の物語の始まりね♪」
ということである。この通り、自分の恋愛には興味がない一方で他人の恋愛にはノリノリなのがこの女の特徴である。
「ったく、リアントス兄様ったら隅に置けないわねぇ♪」
もはや波乱の予感しかしない。
「霊獣は精霊や人間、魔族のような存在に近しいって言ってたけど――確かにそんな感じね!」
ライアも楽しそうだった。