アーカネリアス・ストーリー

第3章 嵐の前の大荒れ模様

第56節 イーグル・アイの神髄

 その現場へとやってきた4人、背後からそっと母親もついてきていた。 すると――
「あれが子供か、子供って言いながら大きさは案外大きいじゃないか?  言っても俺らの基準で別生物の年齢なんてわからないもんだけどな」
 リアントスはそう言うとロイドは言った。
「いや、あのサイズだとそこそこに大きいのかもしれないな。 だいたい生物の特性上、子供のころは別形態のハズだしな――」
 あっ、そう言えばそうか、スティアは気が付いた。
「昆虫だもんな! 子供のころは幼虫のハズだよな!」
 今回の子供は成虫である。
「成虫になったのに、それでも親がくっついているんだな」
 アレスはそう訊くとロイドは答えた。
「霊獣だからな、普通の虫なんかとはワケが違う。 どちらかというと俺ら精霊族や人間族とかいった存在のほうに近いだろう。 だから幼虫の姿の頃なんかはほんの僅かな期間の可能性もあるぞ」
 そっ、そうか――3人は呆気にとられていた。
「で、どうする? 見た感じ、確かに縛られていて動けないようにも見えるが、 肝心の焼き鳥のほうがいないな――」
 リアントスはそう言った、ということはチャンスでは? そう思って4人はそっと近づこうとしたのだが――
「待った……何かが燃えているような音がする――」
 と、リアントスが気が付いた、そう――空のほうからそいつはゆっくりと現れた。 そして、その子供の前にそいつが現れた……。
「けっ、出やがったな! だったらやってやろうじゃねえか!」
 リアントスはボウガンを構えた。
「おい、ロイド! 火には氷! 氷と言えばお前の得意分野だろ!  この焼き鳥をさっさと鎮火しちまえよ!」
 リアントスはそう言うと、ロイドは剣を構えて言った。
「言われなくてもそのつもりだ」
 ブレイズ・フールとの激闘が始まった!

 ブレイズ・フールの猛攻!
「あっちぇ! んだよこいつ! サンダー・フールの比じゃねえな!」
 スティアは苦戦していた。 もう、これでもかと言わんばかりに次々と炎を飛ばしてきた!
「あいつが突進を躊躇うほどか――。 仕方がない、俺が突っ込むしかねえな!」
 ロイドは氷をまといつつ、ブレイズ・フールへと挑んだ!
「いくぞ! フリーズ・スプラッシュ!」
 氷魔法剣が拡散!
「グギャアア!」
 効果ははっきりと出ていた! あからさまに魔物は嫌がっている!
「よーし! いいじゃねえか! 続け!」
 リアントスは次々と打った。
「伝説とは名ばかりか――今と当時とじゃ違うからな。 まあいい――、そうと決まれば始末するだけだ! くたばれ!」
「だな! いよっしゃあ! いくぜ!」
「いくぞ!」
 そして、ロイド、スティア、アレスと続いた。だが――
「キエェーッ!」
 なんと、ブレイズ・フールの身体から燃え盛る炎の嵐が巻き起こる!
「ヤバイ! ファイアー・ストームだ! 逃げろ!」
 と、ロイドは言うが、間に合わなかった――
「うわあああ!」
 一行は全滅した――

 だが――
「あぶねえ――何とか生き延びて――」
 リアントスは周りを見渡すと……難を逃れたのは自分だけか――そう思った。 そもそも彼は他の3人とは違って遠隔攻撃、僅かに難を逃れていたようだ。 すると――
「ん!? あれは――マズイ!」
 なんと、ブレイズ・フールは子供のほうにゆっくりと向かっている!
「野郎! やらせるかよ!」
 リアントスはとっさにボウガンを構えた――
「ちっ、取り返しに来たと思ったんだな! クソッ!」
 そして何度か打ち続けるも、
「止まれえええええ!」
 命中こそしているようだが見向きもしないようだ。 すると――リアントスはとうとうぶち切れた!
「ぬあー! もう! 頭に来た! 焼き鳥の分際でこの俺に背中向けようなんていい度胸じゃねえか!  そんなに死にたければ望みどおりにしてやる! これでもくらいやがれ!」
 と、その時……リアントスのボウガンからは激しい雷撃は放たれた!
「この野郎! この俺がなんと呼ばれているか教えてやる!  俺の名はリアントス=ディンダート! ”イーグル・アイ”と呼ばれたスナイパーだ!  焼き鳥は焼き鳥らしくこの俺の技にかかって大人しくくたばりやがれ! ライトニング・トリガー!」
 さらに激しい雷撃を発射! するとなんと、ブレイズ・フールの背中に直撃!  酷いうめき声の後にそのまま突っ伏し、そのまま痺れて動けなくなった!
「んにゃろ! やってやるぜ!」
 すると、そのままリアントスは即座に駆け寄り――
「借りるぜ!」
 ロイドが持っていた氷をまとった剣を取り上げると、そのままブレイズ・フールの頭上に!
「焼き鳥が……この俺を怒らせたこと……あの世で後悔するんだな!」
 そして、その剣で勢いよく首を断裂――ブレイズ・フールは息絶えた……。

 ティンダロス邸に戻ってきた男性陣、女性陣と共に話をしていた。
「そんなことがあったんだ、大変だったんだね――」
 シュタルは相槌を打っていた。
「でもな……あんな伝説に名だたる魔物まで出てくるとは――流石にやばかったな――」
 アレスはそう言いつつため息をついていた。
「それで? その後どうしたの?」
 ライアは訊くとリアントスは答えた。
「ああ、子供のミラージュ・フライヤを助けると母親が俺らを回復魔法で癒してくれた。 んで、お礼だけ残すと、そのままあの2体は東の方に飛び立っていったな」
「そう――よかったじゃない――」
 ライアはそう言うとロイドは得意げに答えた。
「そうだな――次出てもイーグル・アイ・リアントス大先生様がいらっしゃるから対応は楽なことは確かだぜ」
 リアントスはむっとしていた。
「はぁ!? 俺一人でやれってか!? 冗談じゃねえ! あれでもギリギリだったんだぞ!?  てか、やられるだけやられてそのままぶっ倒れてるんじゃねえよ! きちんと戦え!」
 だが、そのやり取りにライアはやっぱり笑っていた。安定のいつも通りの光景だ。