一方で男性陣は――
「流星の騎士団はいらっしゃいますか?」
何者かがティンダロス邸の玄関ホールへと入ってくると、アレスが招き入れた。
「おや? アテラス執行官? どうしたんです?」
アテラスは悩んだ様子で言った。彼は人間族である。
「すみませんね、休日に押しかけてしまいまして。
それよりも大変です、アルクラド大平原で正体不明の魔物がいるそうです!」
するとロイドが部屋から飛び出してきた。
「俺らのところにわざわざ来たのはそれだけの魔物だからってわけか」
「はい! その通りです!
よくはわからないのですが、身体がなんとも透き通った魔物のようでして、
ランブル将軍もロイドさんを呼んでほしいとおっしゃられたので――」
ランブルも悩むような相手で身体が透き通った魔物……それは少々難儀だな――ロイドは考えた。
「それだけだとどんな魔物かわからねえな。
まあいい、とにかく呼ばれたのなら行くしかねえか……」
ロイドは言うとアレスは頷いた。
「そうだな! 行こう!」
そして、馬車を急がせると、次の日の朝にはパタンタに到着した。
パタンタにはランブルがいた。
「あっ! ロイドさん! こっちです!」
4人は呼ばれたところへと向かうと、そこにはいろんな顔ぶれが。
「4年前に俺たちと一緒に騎士になった連中も混ざっているようだな――」
ロイドはそう言うとランブルは言った。
「もうじき、騎士選抜の時期がやってきますからね。
つまり、彼らには後輩ができるってことですよ。
そうなると、やはり先輩として威厳を示さなくてはなりませんから扱いも変わってきますよ――」
言われてリアントスは頭を掻いていた。
「言ってもな――俺らはまだ半月ぐらいしか経ってないんだが」
臨時選抜で採用された場合は最後の定期選抜で採用された者と同期の扱いとなるため、
つまり、リアントスやスティア、そしてネシェラもアレスやロイドたちと同期になるのだ。
「お前は先輩風吹かせやすい体質だからいいじゃねえか。
問題はどう考えてもお前のほうだな」
それに対してそれぞれ言われたリアントスとスティアが言い返した。
「なんだそれは――どういう体質だ……」
「おっ……俺だって先輩になるんだ!」
リアントスは続けた。
「まあいい、戦術強化担当様が仰られるのだから大丈夫ってことだな」
ロイドは舌打ちをした。
「あのな――」
そして、ランブルを含めた5人は話し合いをしていた。
「で、厄介な魔物というのは?」
リアントスは言うとアレスも訊いた。
「身体が透き通っているとも聞きましたけど――」
それについてロイドが訊いた。
「まさか、”エレメンタル”の類とかじゃあないだろうな?
あんなん魔法でぶっ飛ばしてしまえばいいだろう?」
エレメンタル? 3人は訊き馴染みのない魔物に対して首をかしげていた。
それを察したランブルは説明した。
「エレメンタルというのは、言ってしまえば自然の力が暴走して魔物となって襲ってくるようになったものです。
自然の力そのものが体を成している存在ですので物理的な攻撃はほとんど効果が見込めません。
ですからロイドさんのおっしゃる通り、そんなのが出たとすれば直ちに魔法で対処すればいいだけの話ですので、
状況的にも新たな魔法の使い手に対する小手試しとしてもちょうどいい相手となるでしょう。
もちろん、その程度であればわざわざ皆さんをお呼び立てすることはありません」
そんな魔物がいるのか――3人は唖然としていた。
「てことは……そういうのじゃないってことだな――」
ロイドは言うとランブルは悩んでいた。
「実は、私も初めて見るタイプの魔物です。
ただ――古の時代にあのような魔物がいたというような話を聞いたことがあったように思うのです、所謂伝説のモンスターですね。
それだけの存在ですので――」
マジか――ロイドは悩んでいた。
「ちょっと難儀だが、とりあえず見て来るしかないか――。どこにいる?」