動きの素早さについてはあのグリフォンにも引けを取らないほどの素早さで、とにかく強敵としての威厳があった。
「あぶねえ……かわすのも一苦労だな……」
ロイドは凶暴な爪による攻撃をさらりとかわしていた。
「というか、あんなのどうやって戦うんだ! 動きが早くて近づくこともままならないのに!
そのうえ飛び道具もほとんど効いてねえし! あんなの何とかできるのか!?」
リアントスは文句を言っていた。すると――
「いえ、もしかしたら避けゲーかもしれないわね」
と、ライアもさらりと攻撃をよけながら言った。
「つまりは小一時間ヤツの攻撃に耐えろってか? 無茶苦茶言うじゃねえか……」
スティアはなんとか動き回りながら言った。
「たとえそうだとして、それをいつまで続けるかがわからなければどうにもならんけどな!
クソッ、たとえ効果が薄くてもやるしかないよな!」
リアントスはボウガンを構え、何度か打ちながら移動を繰り返し、ザラマンデルをいなしていた。
すると――
「ん? なんだ?」
ザラマンデルは一旦動きを停止し、いきなり大きく息を吸い込んだ! そして――
「まさか! みんな! 逃げろ!」
ロイドはすぐさま気が付き、全員にそう促した。次の瞬間、ザラマンデルの口から放たれたのは赤々と燃え盛る炎――
「あちちっ! マジかよ……」
スティアが最後に逃げ込んで事なきを得ていた。炎が燃え盛る光景はまさに地獄絵図、地獄の業火がすべてを飲み込んでいた……。
「クロノリアの人間ってクソだな、何のつもりなんだよ……」
リアントスは悩んでいた。
「戦わせるのならできればもう少し戦いやすい相手をけしかけてくんないかなぁ――」
おっ、シュタルがいいこと言った。
戦っているうちに敵に有効な攻撃も見つかった。但し、それが決定打として決まることはなかった。
「炎のドラゴン、弱点は氷――元々硬いのにそれが分かったところでどうにかなる相手じゃねえな……」
ロイドのフリーズ・ショットは命中したが、まるで堪えている様子がない。
だが、他の魔法に比べるとわずかに痛がっている様子は見受けられた。
「くそっ、このっ!」
ロイドは次々と放った! だが――
「ちっ、怯みすらもしないな――」
ロイドはさらりとかわしていた。
「魔法もイマイチってわけね、どうすればいいのかしら……?」
すると、今度は激しい激突音が!
「うわあっ! くそっ、このっ!」
アレスの盾とが激しくぶつかり合った音だった。
そこへアレスが剣を一撃浴びせるも、まったく刺さることがなかった――。
そして、そのままザラマンデルは距離を放すと、再び――
「やばいやばい!」
シュタルがそういって一番に逃げ出してきた、再びザラマンデル・ブレスが!
「くそっ、マジでシャレになんねえぞ――」
糸口が全く見つからない。
「このっ! オラっ! くらえ!」
ロイドは氷をまとった魔法剣で相手を攻撃! だが、相手はそれだけではびくともしない!
「やっと攻撃を決めるところまで行ったのに、それでも全く歯が立たないとか本当に勝ち目あんのかこれ?」
ロイドは悩んでいた。と、その時――
「やばい! またくるぞ!」
ザラマンデルは大きく息を吸い込んだ! ところが――
「なっ!? なんだ!?」
なんと、先ほどの地獄の業火とは異なり、まさに一点集中型の火炎弾を放ってきた!
「ぐあああああ!」
まさに剛速球! 避ける暇もなくロイドに直撃!
「ロイド!」
ロイドはその場で力尽きてしまった――
「ろっ……ロイド!」
ライアは慌てて駆け寄ろうとしていた、だが――
「ライア! ダメッ!」
シュタルは彼女の腕をしっかりとつかんで離さなかった。
ライアはシュタルの方を振り向くも、シュタルは首を振っていた。
「ロイドなら大丈夫だよ! そんなに簡単にやられたりしないんだからね!
だけどあいつを先に何とかしないと――」
ザラマンデルの猛進は続く。
「なんか、無茶苦茶腹が立ってきたな。
とにかく、やるしかねえか――」
リアントスはボウガンを持ちだしてザラマンデルに再び狙いを定めていた。
そしてスティア、シュタル、そしてあのアレスもが地に伏していた……。
「一度陣形が崩れてしまったからなのか、一気にやられてしまったな……。
でも、試練のつもりなのだろうか、そのまま捕食している様子はないな」
「あるいは――全員倒してからゆっくりとするつもりかしら……」
リアントスとライアは悩んでいた。
「くっ、来たぞ――まとまっていたらあいつの餌食になるだけだ、だから――」
と、リアントスは言うと、2人はとっさにその場を離れていた。
するとそこへ例の火炎球が!
「はえーな……こんなんマトモに喰らったら死ぬに決まってんだろ!」
リアントスは剣を突き立てるようにザラマンデルめがけて突進! だが――
「くそっ! どうやったら攻撃が刺さるんだよ!」
攻撃が決まらない! そしてそのまま――
「ぐはぁっ!」
リアントスは爪の一撃をマトモに喰らってしまった! 彼もまた地面の上に――
「なっ、なんてこと!」
するとザラマンデルは今度はライアに狙いをつけていた――。
「……絶体絶命ってわけね」
ピンチ!