アーカネリアス・ストーリー

第2章 碧落の都

第38節 もしかして――

 朝……全員は起床すると適当に朝食をとり、再び登山を開始した。 しばらく魔物を斃しながら進むと、何やら魔物がたむろしている様子が。
「あれはオーガの群れ?」
 シュタルはそう言うとアレスは悩んでいた。
「これは避けて通れそうにないな――」
 あからさまに道を塞ぐように群がっていた。するとライアが――
「なんか、魔力を感じる個体がいるわね、もしかして魔法が使えるのかしら?」
 えっ、本当に? アレスは悩んでいた。
「確かにいそうな気がするな。 1体ずつ封じ込めながら対処していくのも面倒だから受けても多少は我慢していくしかないようだな」
 と、ロイド……マジか――アレスは悩んでいた。
「わっ、わかった。ライア、その……マジック・バリアを頼めるか?」
 というと、ライアは得意げに放った。
「オッケー。さあ、行くわよ!」

 戦闘開始。
「あちっ! マジで魔法を使いやがるのか! 柄にもないことしてくんな!」
 リアントスに火炎球が被弾! だがリアントスは打ち返した。しかし――
「ちっ、そういえば遠隔耐性持ちだったな、面倒なやつだ。 なら、接近戦しかなさそうだな――」
 と、効果のほどを確かめつつ、今度は剣を出して応戦していた。 するとシュタルも――
「よーし! なら、さっそく私もこれを使おっと♪」
 と、先端部にスパイクの付いた鉄製の杖を取り出した。
「あれはメイスというやつか、セディル将軍を彷彿させるな――」
 と、アレスは言った、確かにセディル将軍はそういう人だったか。だが――
「俺はセディル将軍よりも妹の脅威のほうが印象が強いんだが――」
 と、ロイドは言うと、リアントスは頭を抱えていた。
「確かに――なんか頭が痛くなってきたぞ――」
 よっぽどなのね……ライアは冷や汗をかきつつ、大きな槍を取り出した。 もちろん、大きな槍と言えば――
「うーし! こんなやつら、俺に任せておけ!」
 と、スティアは得意げに言った。

 一斉攻撃の結果、最後にロイドが大剣を盾にして一体のオーガの攻撃をしっかりとかわしていた。
「くっ、こいつ……なんか妙に強ぇな……」
 その後ろでアレスが疲弊していた。
「ロイド……悪いな……」
「ちっ、なんとかならねえのかよっ……」
 ロイドは完全に押し込められていた。
「あいつ、無茶苦茶かてぇな……。 スティア! いつもの馬鹿力はどうした!」
 リアントスは訊くとスティアは右腕を抑えながら言った。
「あいつ……びくともしねえんだ……ちっくしょ……」
 なんとも弱気であった。
「このっ! このっ! このおぉっ!」
 シュタルは一生懸命攻撃を繰り出しているも、いずれの攻撃も通用しないようだ。
「クソッ……どうすりゃあいい……魔法ならいけそうだが、この状態だと打つようなスキがねぇな……」
 魔法なら――すると、アレスが……
「だったら俺が引き受ける! だからロイドは魔法を頼む!」
 だが――
「ダメだ……ここで姿勢を崩したらぶち抜かれてしまいそうだ……」
 マジか……するとロイドが――
「ライア! やれるとしたらお前だけが頼りだ! だから頼む!」
 えっ、私!? ライアは驚いていた。
「でっ、でも……」
「こうなったら何でもいいから打ってくれ! もうそれしかねぇ!」
 ロイドはそう叫んでいた、私にしかできない――ライアは覚悟を決めた。
「そこの魔物! これでもくらいなさい! <サンダー・ショット!>」
 ライアの手元から雷が放たれ、そのままオーガの身体を貫いた!
「グオオ!」
 するとオーガは力が抜け、打たれたところを手で押さえた――
「チャンス! これでもくらいやがれ!」
 ロイドのライト・アロー! オーガの目元で発動! オーガの目がくらんだ!
「よし! 今だ! やれ!」
 リアントスの合図で全員で一斉に畳みかけていた。だが――
「ちっ、かてぇことには変わりがねえってことか――」
 それで斃せるほど甘くはなかった。するとオーガは周りを振り払い――
「離れろ!」
 アレスがそう言うと、全員で一斉に離れた。だが、ライアはオーガの目の前で……
「あんたみたいなオイタをする子にはおしおきが必要ね! <アクア・ブラスト!>」
 なんと、今度は水魔法を発動! 強烈な水流でオーガをぶっ飛ばした!
「すげえ! あの女、やるな!」
 リアントスをはじめ、全員その光景に驚いていた。 空高く打ち上げられたオーガはそのまま地面へと真っ逆さま、地面にそのまま突っ伏していた。
「よし! 今しかねえ!」
 と、ロイドは大剣を持って高く飛び上がった!
「刺されー! うおおおおお!」
 そしてオーガの背中めがけて勢いよく落下!  全員、祈っていた――
「頼む! 刺さってくれ!」
「ロイド! 背中だからな! 絶対にやれよ!」
「ロイドー! 私の分もお願いだよ!」
「いけー! やれー!」
 アレス、リアントス、シュタル、スティアは興奮していた。
「この野郎おおおお! そろそろ死にやがれえええええ!」

 あの死闘の後、6人は一休みしていた。
「大丈夫か、ライア――」
 ロイドはライアの腕を握りつつ、包帯を巻きながら心配していた。
「ええ、ありがとう。 今度こそ、暴発することなくうまくやれたわ――」
「でもムチャしちまったみたいだな、もう少しうまく使えるといいけどな」
「そうね――でも、初めてうまくいったわ――」
 ライアは嬉しそうだった。
「ライア……魔法バリアといい、いつの間にか魔法が使えるようになったんだな――」
 アレスは唖然としていた。しかし、そんなことより――シュタルは嬉しそうに話した。
「でも、なんだか2人とも、いい雰囲気じゃない?」
 そう言われてリアントスとスティアは冷やかしていた。
「確かにそうだな、夕べもどうやら一緒に話をしていたみたいだしな。 案外デキてるんじゃねーのかぁ?」
「だよな! いつも嬉しそうにしているもんな!」
 だが、その話には一切乗れないアレス――頭をかいていた。
「よし、これで大丈夫だ。 俺も魔法使いたての頃は大体そんな感じだった。 だからライアもそのうちうまく使えるハズだ」
 ライアは嬉しそうに頷いた。
「それは当然よ、だって、教える人が上手な方なんですもの――」
 そう言われてロイドは照れていた。
「そうか? そんなことないと思うけどな、俺はむしろ下手な方だ」
「でも、私としてはロイドの教え方が合っているみたいね。 だから今後もよろしくお願いするわね、先生♪」
 そっ、そうか――ロイドは狼狽えていた。そして立ち上がり、4人のほうへと振り向くと――
「なっ……なんだ!? どうかしたか!?」
 4人……というか、アレスを除いた3人は2人の様子をほほえましく眺めていたので、ロイドはびっくりしていた。 だが、3人は「別にー?」とか言いながらはぐらかしていた。なんなんだよ――ロイドは複雑な気持ちだった。 しかし、ライアはその様子を見てなんだか嬉しそうだった、こいつはまさに脈ありってやつですかね!?