日が落ち始めたあたりでパタンタに到着し、その町で一晩明かすこととなった。
その際、アレスから嫌な話を聞いた。
「キラー・スネーク!?」
ライアがそう言うとアレスは頷いた。
「この先の街道で現れたって言うんだ。
その時ちょうど俺は手すきだったからね、
少し前にここのがれきの撤去作業の護衛に駆り出されたんだ」
それでどうなったんだ、ロイドは訊いた。
「いやぁ、それが伝説の竜の末裔っていうぐらいだから駆り出されたみんなはずっとハラハラしていたのに全然現れなくてね、
結局現れることなく作業が終わってしまったんだよ。
しばらくして街道の警備からアーカネルに戻されることになったんだけど、
それでも特に出たって言う話は聞かないな――」
というか、そもそもキラー・スネークが現れたのだろうか、ライアはそう訊いた。
「分からないけど被害者がいて、目撃情報も多かったみたいだから確実だと思うけど――」
それじゃあ無理もないか。
「ま、何はともあれ、ここにドラゴン・スレイヤーがいるからなんの問題ないけどな」
「はぁ? 当時使ってた武器なんてもうねぇぞ?
あの後の仕事でものの見事にぶっ壊れてしまってる、お前だって見てるから覚えてるだろ?」
「誰もドラゴン・スレイヤーが”ある”なんて言ってねえよ、”いる”っつったんだ」
「そうか、つまりお前の事か」
「はぁ? どう考えても俺じゃねぇだろ?」
そんなリアントスとロイドとの言い合いにライアは大笑いしていた。
朝、パタンタの西側の街道……まさに崖下の道であり、
2年前はここのがけが崩れて通れなくなっていた。
現在は道がすっかりと通れるようになっているのと同時に補強工事が進められていて完成も間近だった。
「それこそ、まさかキラー・スネークの仕業じゃないよね?」
シュタルはそう言うとロイドは言った。
「地面を掘り起こして移動するあいつらのことだから可能性だけはありそうだけどな」
しばらくは崖下の道が続くが、そのうち開けた大地へと出てくることとなり、いよいよアルクラド大平原へと出てきたのである。
「すっごーい! 広いねー! エドモントンなんかとは比べ物にならないほど広ーい!」
シュタルは嬉しそうにしていた。
どこまでも広がる明るい大草原帯、まさに健康的な土地である。
「とりあえず、宿場町を目指して点々と進んでいくことになる。
馬車があるからある程度夜更かししながら進めていくことも可能だが、
夜の魔物が強いのはここでも一緒だからできるだけ宿場町で休みながら進んでいくぞ。
いいよな、アレス?」
ロイドはそう言うとアレスは考えた。
「まっ、まあ……それが一番ならそのほうがよさそうだな――」
するとリアントスが指摘した。
「リーダーのくせになんだか指揮権の弱いやつだな……」
アレスは図星を突かれたがロイドは言った。
「あんまり言ってやるとあれなんだがこれは経験値の差だ、仕方がないだろう。
言ってやれよ、俺は遅咲きなんだって、大器晩成型なんだって」
そんなこと言うわけないだろ……アレスは悩んでいた。
「でも、それはそれでそっちのほうも相変わらずだな――」
ロイドはそう訊いた、スティアはしっかりと眠り込んでいた。
「こいつ、すぐに寝ちまうからな……。
まあ、おとなしいことはいいことだし、寝る子は育つともいうからな、面倒だからそっとしといてやれよ」
なんだそれは――ライアはやっぱり呆れていた。
「そんなんでいいの?」
ロイドは頷いた。
「戦いになったらよくわかる」
すると、ちょうどその戦いの時が訪れた――
「ッハァー! っしゃあ! いくぜぇー! 俺に続けぇー!」
スティアはいの一番で魔物に向かって猪突猛進!
それにはアレスも焦っていた。
「ちょっと! おーい!」
だが、
「あいつは昔からああいうやつなんだ、放っておくしかない。
無鉄砲もいいところだが、それでもあの無謀さだけは尊敬に値する。
とりあえず、俺たちも行くぞ――」
と、ロイドは後ろからそろっと追いかけていた。魔物は例のオーガ2体である。
「いずれにしても接近戦か……行こう――」
アレスたちも唖然としながら立ち向かっていた。