アーカネリアス・ストーリー

第2章 碧落の都

第25節 かつての仲間

 ライアは言われた通り弓矢を乱射して魔物をけん制、向かってくる魔物についてはボウガンの男が次々と順番に射落としている。 魔法による反撃は魔法防御強化を得たアレスの盾でなんとかかわしつつ、固定砲台組は態勢を確立していた。
 一方でロイドとシュタルの接近戦組は敵を翻弄しながら適宜魔物をうち飛ばし、そしてターゲットのもとへとたどり着いた。 ロイドは背後を警戒していると、シュタルは倒れている男を確認していた。
「ロイドー! 男の人が倒れているよー!」
 と、シュタルは言った。背後を警戒しながらロイドは言った。
「よし、シュタル、交代だ」
 2人はポジションをすぐさま交代すると、ロイドはその男の姿を見て呆れていた。
「んだよ、どういうことだよ、確かに伸びてはいるが無事じゃねえか――」
 救出対象は遺跡の一部に身を隠していたのだが、魔物に見つかった後にひと悶着あって気を失っていたようだ。 その魔物はその男の傍らで既に死に絶えているようだが、これはどういうシチュエーションなんだ――ロイドは悩んでいた。
「おら! さっさと起きろ! 死にてえのかこの野郎!」
 といいつつ、ロイドはその男を足蹴にしていた。
「いっ! 痛ぇっ! なっ、なんだぁー!?」
 男は慌てて起き上がった。
「ったく、人が心配してやってんのに悠長に寝てやがって――」
 そう言われ、男は我に返った。
「はっ!? もしかして、ロイドか!? どうしてここに!?」
 ロイドは腕を組んでじっと睨めつけていた。
「あっ、俺……? 俺は――痛くて……気を失っていたみてぇだな……あはははは……」
 あははじゃねえ……ロイドは呆れていた。
「やれやれ、”サンダー・フール”のエサになってなくて残念だな」
 そんな! 男は焦っていた。
「そっ、そんなこと言うなよ……悪かったって!」
「悪いと思うより、助けてもらったんだからまずは礼を言うべきだろ。 まあいい、それよりもまだこれでも戦闘中なんだ、さっさと起きて手伝えよ」
 そう言われて男は慌てて跳び上がった。
「なにっ!? そうなのか!? だったら早く――」
 と言いつつ、シュタルを見ながら言った。
「えっ、誰!?」
「んなこといいから、先に片付けるぞ!」
 ロイドは先陣を切って敵に切り込んでいた。シュタルと男はそれに続く。 その男の得物は大きくて太い槍、ライアが持っているものに通ずるそれであったが、それよりもさらに大きな得物だった。

 なんとかその場を収束させ、魔物を撃退していた6人。
「俺から紹介しよう。 こいつはリアントス=ディンダート、以前にキラー・スネークの話をしたハズだが、その時のツレだ」
 ロイドはそう言った、やっぱりそうだったのか、4人は納得した。
「そしてこいつがスティア=オルダート、一応従兄弟なんだっけな?」
 と、ロイドは言うが、リアントスは……
「はぁ? 従兄弟ぉ? こんなやついたっけ?」
 それに対してスティアは言い返そうとするも、先にロイドが言った。
「ああ、すまん、俺の勘違いだ。こいつはサンダー・フールのエサになり損ねた食べカスってところだな」
 そう言われてスティアは悪びれた様子で言った。
「ややや! 悪かったよ! ……じゃなくて、助けてくれてありがとうな!  おかげで命拾いしたしな!」
 リアントスとロイドはため息をついていた。
「ったく、マジだぞ。今度こそマジでダメだと思ったからな。 お前をどう見捨てるか小一時間考えていた俺の身にもなってほしいもんだ」
「ったく、あれだけ不用意に突っ込むなっつってんのにまーだその性格が治らねえのか」
 そう言われて至極反省していたスティアだった。
「あの群れに不用意に突っ込むとかまた随分と勇敢なのね、誉められたもんじゃないけど」
「まあ……勇気と無謀とは別物っていう言葉もあるからね――」
 さらにライアとシュタルからもダメだしを受けていた。
「うーん……そういう人もいるのか、参ったな――」
 アレスも悩んでいた。

 リアントスは見た目は何処からどう見ても優男風のイケメン男児、 スティアは見るからに元気である意味単純そうだがイケメン男児と、素材に恵まれている感じである。 そのあたり、ロイドもまさにイケメン男児とユニットを組めそうな3人はかつてハンターとして共に仕事をしていた仲だったらしい。 特にリアントスはその腕もあり、”イーグル・アイ”とも称されるほどのハンターなのだそうだ、それはすごい。
「俺らの協力者としてお前らが名を挙げたってところだな」
 ロイドはそう言うとアレスは驚いていた。
「えっ、そうなのか!?」
 どう考えてもそうだろ、ロイドはそう思った。
「まあ、そういうことだな。 例のサイスの依頼だって言ってたからな、絶対にロイドが噛んでるに違いないと思って名乗りを上げたまでだ。 しかも行き先がお前もこき下ろしていたクロノリア――だが、魔法ってやつには一応興味あるしな、 アーカネル騎士と手を組むってのはあんまり勧まないが――まあ、ロイドとって言うんだったらそれもいいかと考えたわけだ」
 アーカネル騎士と手を組むのが嫌なのか? アレスは訊くとロイドが言った。
「フィダンの森の石碑のことを思い出してくれればいい」
 フィダンの森の石碑と言えば――アレスは考えていた。