アーカネリアス・ストーリー

第2章 碧落の都

第24節 スナイパー

 話をしつつ、魔物が現れては警戒し、そして斃してゆく4人。 するとそのうち――
「ちっ、また出やがったな……」
 ロイドはそう言いつつ弓矢を取り出した。 なんだか問題の魔物と遭遇することになったようだ、それは――
「この雷の魔物! 苦手だなぁ……」
 アレスは悩んでいた。
「見るからにアレスの天敵だよね……」
 と、シュタルは落胆しながら言った。 その魔物、雷をまとった鳥の魔物で、その名も――
「”サンダー・フール”と呼ばれた古の魔物らしい。 これの炎版もいるらしいんだが、そっちはもっと厄介だ―― まあ、雷であることに感謝するんだな」
 と、ロイド……つまり、厄介な系統の魔物であることは確実のようだ。
「あいつ、雷の魔法を飛ばしてくるのよね――」
 と、ライアは漏らしていた、魔法に強くても痛いのは嫌だという感じらしい、それはそうだ。
「今は気が付いていないようだけど――」
 ライアは言うとロイドはアレスに言った。
「2つに1つだ、気が付いていないからなんとか避けて通るか、 それともこのまま進む必要があるから避けては通れない――だから気が付いていないうちに奇襲をかけるか。 もちろん、奇襲をかけても気が付かれる危険性はある、やつらは群れて襲ってくるからそれなりにリスクを伴う――」
 そのリスクはある程度覚悟しなければならなかった、何処からどう見ても10体程度はくだらない数だった、これは――
「でも、かといって避けて通るにしても今度は大回りになっちゃうよ……?」
 シュタルはそう言った。
「ま、いずれにしてもやるしかないんだろうけどな、流石に――」
 ロイドがそう言って悩んでいるとアレスはさらに悩んでいた。
「どこかでスキを見計らっていいところで襲撃をかけて突き抜けるしかないか――」
 アレスはそう言った。するとその時、背後から――
「どうやらどうするか迷っているようだな。奇遇だな、実は俺らもそうなんだ」
 その声に対して4人はすぐさま振り向いた。背後の男はさらに続けた。
「魔法を使う鳥と訊いたもんだからどんなやつかと思ってな、所詮は鳥は鳥だろ―― そう思ったが少々甘かったようでな、ツレがやられちまってあっちの物陰に潜んでいる。 だからもちろん手伝ってくれるよな、ロイド?」
 ロイドって!? 知っているのか!? 何人かは驚いていると、ロイドも驚いていた。
「おまっ!? まさか――」
 それに対して男は言った、優男風の男だった。
「いいから、ツレの命がかかっているんだ、自業自得ではあるんだが流石に見捨てるわけにもいかねえしな――」
 と言いつつ、その男はボウガンを取り出した――まさか、この男って――
「ちっ、手のかかるやつだ。おい、アレス!  どうやら魔物の群れに突っ込んでいった手のかかるやつの人命が優先ということらしい。 だからやつらを斃す! アーカネル騎士らしくそれでいいよな!?」
 ロイドはそう言うとアレスは力強く答えた。
「もちろんだ! 人の命がかかっているのなら救出が優先だ!」

 5人はサンダー・フール相手に打って出た。
「ライア! 悪いが例のやつを頼む!」
 ロイドはそう言うとライアは構えていた。
「オッケー。<マジック・バリア!>」
 なんと、ライアは魔法バリアの呪文を発動!
「ライアもこんな魔法が使えるようになったんだ! すごーい!」
 シュタルは感動していた、教えたのはやはりロイドか。
「アレス! その場でその男とライアの守りを頼む!」
 えっ!? アレスは焦っていた。
「その2人は固定砲台だ! 俺とシュタルで接近攻撃を挑みつつターゲットを救出する! それでいいだろ?」
 ロイドは言うとライアが言った。
「ですってよ、戦術研究室所属が言うんだから言う通りにしましょ」
 確かにそれもそうか――アレスは従うことにした。するとあの男も言った。
「へぇ、戦術研究室所属とか随分と偉くなったもんだな。 もっとも、妹がいたら交代させられそうな気もするけどな」
 ロイドはシュタルと共に敵に突っ込みながら言った。
「だったら俺は剣だけ振ってりゃいいだけの話だ、そっちのほうが面倒もないしな!」
 男は呆れていた。
「やれやれ、冗談のつもりで言ったんだけどな、騎士団に入隊しても全然変わんないようで安心したぜ」
 男はそう言いつつボウガンを魔物に向けていた。
「えっ、ちょっと、こんな位置から!? 遠くない!?」
 ライアは驚いていた。
「そうか? こんな距離、普通だけどな?  まあいいか、あんたは打つことだけに集中すればいい、俺は確実に当ててやるけどな。 だが問題は初めて射貫く魔物ってところ、つまりは一撃で倒せるかどうかってところだな」
 不動体であれば平均して40メートル程度が大体有効射程と言われているボウガンだが、 今回の相手は動いている魔物、しかも的はかなり小さく距離にして60メートルぐらいは離れている、 確実に射貫けるとでも言うのか!?
「よし、ロイドが剣を振り上げたら合図と行こうか」
 すると――ロイドが剣を振り上げるとともに――
「頼むから面倒かけさせんじゃねえぞ!」
 男は祈りを込めてボウガンの矢を放った――