アーカネリアス・ストーリー

第2章 碧落の都

第20節 美人の頼れるお姉様は男勝りな話

 ライアたちはロイドの妹の話をリクエストしていた。
「ネシェラちゃんって強いのね……」
 ライアは唖然としていた。
「ああ。 それこそ、いじめられた友達の代わりにいじめた相手を泣かしてくるような妹だからな。 例えそれが男だろうと――いや、大体ボコボコにされているのは男ばかりって、どこか男勝りなところがあるんだよな――」
「それは強い……どう考えてもロイドの仕事って感じがするんだけどな――」
 シュタルはそう言った。
「ああ、喧嘩って言ったら俺にも多少は覚えはあるが――」
 ロイドは少々得意げだった。そこへサイスが訊いた、彼も話に混じっていた。
「でも、私としてはネシェラさんって小さい頃よりも大きくなってからのほうが印象が強いですね。 最近ではロイドさんとあまり背丈が変わらないものですから少々驚いてしまいましたが――」
 ロイドは言った。
「そう、それこそネシェラのほうがお姉さんと勘違いする人もいる始末だ。 実際には俺のほうが4つ年上なんだけどな」
 そこへライアは訊いた。
「じゃあさ、こういうのはどうかしら? ネシェラってずばり美人?」
 そう言われてロイドは悩んだ。
「どうだろうな、兄貴目で見て確かに美人だとは思うが――」
 サイスは答えた。
「そりゃあもう、あの方は間違いなく美人ですね。 どう考えても男性にモテてもおかしくはないポテンシャルのお方ですね――」
 だが――ロイドは言った。
「まあ……見た目は確かにそうなんだが、少々可愛げがないのが玉に瑕だな……」
 それに対してサイスも悩んでいた。
「そうなんですよね――ここまでのお話の通り、 ロイドさんの可愛らしい妹さんなのはその通りで今ではすっかり美人のお姉さん―― それはそうなんですが、いろんなことをそつなくこなし、 しかも男の方をあっさりとノックアウトしてしまうほどの戦闘能力まで備えたような方です。 なので、男性に人気があるかと言えば――まあ、私は元気な方なのでネシェラさんのことは好きですけどね――」
 ロイドはすかさず言った。
「いや、気を使わなくてもいいぞ、その気持ちだけでも買うよ――」
 サイスは首を振った。
「いえいえ、むしろそれだけのポテンシャルの方ですからね、 頭も良いことですし、そのおかげで私も助けられたことがありました。 それに元気でお転婆で、いろいろと面白い方ですので、彼女に引き込まれることは請け合いです、 それが直ちに恋愛につながらないのが少々心残りですが―― 特に女性陣を中心に人気があるのは間違いない方なので、彼女の魅力はそこにあるのでしょうね」
 ロイドは頷いた。
「そうだな、あいつはむしろ”頼れるお姉さん”というのがより的確な表現だろう。 あいつはまさに典型的な女性にモテるタイプの女性ってところだな」
 そんな見た目とは裏腹な性質をお持ちなのか――ライアとシュタルは唖然としていた。 一方でアレスはただひたすら何も言わずに聞いていた。
「そうだな、もし流星の騎士団に加わったとしたら……まずはライアとシュタルとはすぐに仲良くなるだろうな。 それこそシュタルならむしろあいつをお姉さんと呼んで慕う可能性もありそうだ。 そしたら――次はアレスを速攻で尻に敷き始めるに違いない」
 えぇ……アレスは急に話を振られて驚いていた。
「ほほう、なるほど……ネシェラさんを一緒にですか、それは面白そうですね――」
 サイスは考えながら言うとアレスは焦っていた。
「なるほどねー! ネシェラちゃんが来たら面白そうだなー♪  ネシェラお姉様かぁ……うん♪ ロイドぐらい背があるんだったらそれもなんだかイイかもね♪」
 この時期の彼らについて、ロイドの背は183cm程度だがネシェラの背は180cm程度と随分とあるらしい。 一方でシュタルは165cm程度しかないのでむしろ妹である。 いや、じゃなくて、アレスは177cmでライアも174cmなのでロイドを除くと彼女が一番背が高いことになってしまうんだが。 ちなみにサイスはさらに高くて185cm程度もあるので明らかに年上のお兄さんである。
「へぇ、天才児でしかもロイド並みにいろいろと知っているってことなら、 むしろ私のほうが教えられることが多いかもしれないわね、それはそれで面白そうね……」
 と、シュタルとライアはワクワクしている一方で、アレスはビビっていた。
「俺、殺されたりしないよな?」
「安心しろ、少なくとも命までは奪われたりしないハズだ」
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