ところが――
「ん? なんかおかしくないか?」
クラフォードは外の様子に気が付いた。
「ん? どうした?」
ガルヴィスがそう言うとディスティアが言った。
「妙ですね、風が弱まったような気がするんですが――」
「弱まったってそりゃそうだろ、フィールドの出力を高めて風の力を弱めているんだろ、当たり前じゃないか」
ガルヴィスがそう言った。ただ――
「いや、それにしても妙だ。さっきまでもっと激しい風だった気がする」
「ええ、上陸している時点でも結構な風の強さだったと思うのですが、なんか急に弱くなったような感じですね――」
と、クラフォードとディスティアが言うと、レイビスが言った。
「あれじゃないのか? リファリウスが例の技でパワー吸っているんじゃねえのか?」
そう言われてみれば確かに――クラフォードは思った。
「あの節操のない吸収技か、なんたらドローとかいうやつ……それならありうるな」
だが、ディスティアは――
「そ、そうでしょうかねぇ、それならいいんですけど――」
嫌な予感がしていた。
フィールド出力制御室にて、オリエンネストが気が付いた。
「ん? なんか変な感じだな――」
彼は部屋を飛び出るとフィリスは気になったので、プリシラを連れて外に飛び出した。
そして城の外へと出ると――
「えっ、これってフィールドの影響!? なんか、風が本当にそよ風程度って感じ――」
「どっ、どうなっているんでしょうか――」
フィリスとプリシラは驚いていた。
「なんか変な感じだな、フィールドが減衰させているだけって感じでもない気がする。
お城の上から見れば何かわかるかな?」
そう言ってオリエンネストはおもむろに階段のほうへと向かった。
フィリスとプリシラは顔を見合わせると、そのままオリエンネストへとついていった。
そして、オリエンネストたちは6階についた。
「あっ、オリ君、来たんだね……。」
そこにはリファリウスとほか3人の女性が佇んでいた。何をしていたのだろうかと訊こうとすると、
「あっ、そうか! リファリウス君ってば、例の吸収技使っていたんだっけ、みんなもそう? そのせいかな?」
リファリウスは答えた。
「いいや、違うね。
確かにその例の吸収技っていうのを3人で使っていたけど、今は御覧の通りみんなリラックス状態だ。
そもそもその例の吸収技だけど、肝心の竜巻の芯を食っていない――つまりはそこまで効果を与えられていないってことだよ。
とにかく、何かよくわからないけど竜巻のほうから風の出力をダウンさせてきた感じがする、妙な感じだね――」
えっ、そうなの!? プリシラがそう訊くとリファリウスは言った。
「ほら、そろそろ上空を通過するころだ、そしたら例のものが見れるハズだよ――」
すると、リファリウスは例の灯りの魔法を発動した、何か変な金属の太い棒のようなものが上空を通過しようとしている――
「なっ、何か浮いている!? あれはいったい!?」
フィリスが言うとリファリウスは答えた。
「アンカーだ、男性陣は結構頑張って差し込んでくれたみたいだね。
つまり、あれに刺さっているものこそが竜巻の中心にあるものだとみて間違いない」
えっ、でも――プリシラは言った。
「あれが今現在通過しているにも関わらず風はほぼそよ風状態――どうして?」
リファリウスは頷いた。
「単に竜巻が衰えてこのまま消えようとしている感じではないね、
あくまであの物体は通過しているわけだから、どこかで再び竜巻の猛威を振るおうとする可能性が高いということかもね――」
リファリウスはそうアリエーラに言うと、彼女は――
「姿を現しなさい! ”スペキュレイション”!」
魔法を唱えた、彼女の身体から放たれた光がアンカーに刺さってる物体を包むと、その全容は徐々に姿を現し――
「なっ、なんだあれ!?」
フィリスは驚いた、なんとそこにはとてつもなく大きな物体が現れたのだ!
「ふう、やれやれ――なんか、想像以上の展開になったみたいだね。」
リファリウスは悩みながら言った。
そして竜巻はクラウディアスを通過し、そのまま海へと出ると再び勢力を増し、そのまま西南西へと突き進んでいた。
そう、まだ終わったわけではない――果たしてこの先どうなることやら――