リファリウスはエンブリア男剣士勢を相手に剣術指南をしていた。
「テメェ! 今日こそはブチ殺してやる!」
アーシェリスは殺意むき出しでリファリウスに襲い掛かった!
「いくぞ! おらぁ!」
「遅いよ。」
アーシェリスはリファリウスの木刀相手に既に腹をぶち抜かれていた。
「ぐはぁっ!」
「ほらほら、だらしないなあもう。これで終わり?」
すると、クラフォード、イールアーズ、ディスティアの3人はそれぞれ顔を見合わせ目配せしていると、
一斉にリファリウスの前に立った。
「ん?」
リファリウスが反応するとクラフォードが言った。
「あんたの姉貴同様、アンブラシアの住人もとい最強の”ネームレス”って呼ばれているぐらいだからな、
別に一度にやってきたってかまわないだろ?」
イールアーズも言った。
「本来なら共闘とか願い下げだが――それでもおめーの姉にやられたこともあったしなあ?
この際だ、まずはこの布陣でテメーを潰してやる。
そしたら今度は俺が1人でテメーをぶっ潰してやるぜ!」
ディスティアが言った。
「まあ――何はともあれ、そういうことです。異論はありませんよね?」
リファリウスが答えた。
「もちろんだ。
てか、そもそも単騎で来いなんて一言も言ってないからね、いくらでも請け合うよ!」
すると――
「ほう、そういうことか――だったら別に3人以上でも構わないってわけだ――」
アーシェリスがそう言いながら立ち上がると、フェリオースも続いて立ち上がった。
「つまりはそういうことだな――」
そしてさらに――
「ちょうどいい機会だ……。
あんたにはさんざんやられているからこの際、俺も参加させてもらうぞ!」
ティレックスも殺意むき出しで起き上がった。
「そういえばまだテメーとの決着をつけてなかったよなあ?
そういうことならさっさと始めようぜ?
一応言っとくが――これまでの功績に免じて土下座するんなら今のうちだぜ!?」
スレアも殺意むき出しだった。そんな様子にリファリウスは――
「結構。いいね、だいぶ負のオーラがたまっているね、まさに果し合い日和だ。
そう言うことなら早速始めようか――」
すると、リファリウスは改めて左手に武器を携えて佇んでいた。
そして――
「キミだけはまた随分と腕を上げたようだね……。
何がどうなっているのか教えてもらおうかな――?」
リファリウスと激闘を繰り出していたのはディスティアだけ、
それ以外はリファリウスの剣さばきで一掃されていた。
互いに木刀で激しくぶつかり合い、まさにこれこそがしのぎを削り合っているという状態である。
「そんなこと、どういうことだかわかりきっていることではないですか、
純粋に師匠が優秀だった……それだけのことですよ――」
「なるほど、そんなに優秀な師匠だったら是非、この目で一度お会いしてみたいもんだね!」
リファリウスは技を放ち、改めて距離を取るとお互いに再び衝突し、激しく乱撃!
そして再びしのぎの削りタイムが。
「それにしても、両手で扱うことはしないんですね?
無論、それがあなたのスタンスなのでしょうからそれを変えるということはしないおつもりかもしれませんが――
それでも、いくらなんでもっていう感じがするんです、だって、ほら――」
リファリウスは片手一本、それに対してディスティアは両手でしっかりと刀を握っており、
リファリウスを圧倒的に押し込んでいた。
「ご忠告、ありがとう。
でもその通り、この型の刀を持つ私のスタンスはこれがスタンダードなものでね、
変える気がないというよりは変えようがないんだ、今はね。
だから、素直に負けを認めてくれればすべては丸く収まるんだよ!」
再び乱撃、そしてしのぎ。
「この状況下でそんなにあっさりと負けを認める弟子がどこにいるんですか?
負けを認めるぐらいならもう少し抵抗して見せますよっ!」
再び乱撃! そしてリファリウスが風の中に身を委ねて姿を瞬時に消すとディスティアの背後に!
すると――
「そこです!」
ディスティアは左側を向いて木刀を突き出した! すると――
「やるな、流石はディア様、師匠が優秀というだけのことはある――」
「ええ、お褒めに与り、光栄です、リファリウスさん……」
なっ、なんと、互いに突き出していた木刀の先端が、互いに相手の喉元に向けられていた!
「なっ!? マジか!? あのリファリウスを破りやがった!?
いや、破ったというわけではなさそうだが、あそこまでやれるとは――」
「うそ……だろ……!? なにがどうなっていやがる!?
ディルのやつ、いつの間にあんなに強くなったんだ!?」
クラフォードとイールアーズは2人の激闘ぶりを見てその展開に驚いていた――
「すっ……すげ! ディア様、無茶苦茶強いじゃん!」
「ディア様すごい。何か知らないけど最近急に強い。よくわからない進化」
フィリスとカスミも驚き、賞賛していた。
さらにほかの者も、男性陣はただただ驚き、女性陣はイケメン・ディア様とリファ様の強さに惚れ込む者も少なくはなかった。
すると――
「リファリウスさん、ひとつ提案ですがよろしいでしょうか?」
ディスティアが言うとリファリウスは頷いた。
「もちろん請け合うよ。私も同じことを考えていた、今回は停戦交渉ということだね。」
「ええ、是非そのほうが助かります」
「そうだね、これ以上の戦いはお互いに得策とは言えないからね。今回はこれで刀を収めよう――」
互いに刀を引くと、そのまま互いに礼をしあって仕合を終えた。そして互いに去り際に――
「ああそうそう、ひとつだけ。師匠からの伝言だけど、とりあえずディア様は合格だよ。
これ以上、私が教えることはなさそうだね。」
しかしディスティアは言った。
「いえいえ、お言葉ですが師匠の能力はまだまだこんなものではないでしょう。
是非、いろいろとお教えください。
言ったでしょう、私が教えてもらいたいのは剣だけではないということを。」
するとリファリウスは得意げに答えた。
「そうか、そこまで言うのなら師に掛け合ってみるよ。
知っての通り、師はイケメンが好きだから喜んで引き受けると思うけどね。」