エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

エンドレス・ロード 第2部 果てしなき旅へと連なる試練 第5章 天使の再起動・最終章

第90節 反省とは、時間の浪費

 クラウディアス連合国における会議の席。
 リモート会議を想定していたリファリウスだが、 面倒なことに直接来るという国ばかりで困り果てていた。 謝るというからには当然と言えば当然かもしれないが。
 しかし会議の内容は泥沼だった。
「で、謝りました、反省しています、今後二度とないようにします、それは聞いたよ。けど、具体的に何するって?」
 リファリウスはそう言うと関係者一同はあっけにとられていた。
「いやいやいや、そこでフリーズしないでさ……いいかな、もう一度言うよ? ごめんなさいも見たし、反省していますというのもわかったよ。 無論、二度と面倒を起こさない、それはもうわかったから。 でも、私としてはそんなこと二の次三の次でしかなくって、 一番気にしたいのはそのための改善策として具体的に何をするのかということを訊いているんだよ。 今まで似たようなことを何度も聞いてきたけれども、こっちから要求しないと全然返答してくれないし、 それこそ考え中だから待っててねとか、 おいお前ら本当に二度とやらかしたりしないんだろうな感が強くて大丈夫なのかどうかが全然わからないんだ。 なんか、謝っときゃいいって思ってない? 反省して、そして今後気を付けるためにはどうしていくつもりなのか、 普通はそれを相手に伝えるまでが謝罪なんじゃあないの?」
 それは厳しすぎるんじゃあ――何名かはそう言うと、リファリウスは愚痴を吐いていた。
「確かに、クラウディアス様は厳しすぎるのではないかって意見も聞いた。 だけど、私としてはそこまでやるのが当然だと思っている。 何故かというと、ただ謝るだけで一席を設けるなんてただの時間の浪費以外の何物でもないんだ。 正直言うと、こんな場を設けるとかわざわざやりたくないんだよね。 知っての通り私は”ネームレス”、”ネームレス”であるが故の問題を抱えている、つまりはそれだけ忙しいってことだよ。 そんな中でわざわざ時間を割いてまでやってきているんだから、 本当に二度と起こらないようにしてほしいっていう保証を提示してもらいたいというのが私の言い分だ。 だから私はそこまで訊いているんだ、わかるだろ?」
 それを言われたらぐうの音も出なかった一同だった。そして、リファリウスは頭を抱えながら言った。
「そもそもこういうことになることは目に見えていた、だからわざわざ謝罪なんかしなくていいって言ったんだよ。 流石に私も、みんなの反応を見て察したよ、そのあたりの意識が足りていないってことをさ。 だからこの件はこれからの課題だと思って密かに意識改革を始めようとしていたところだった。 今はいい、後できちんと受けよう――いや、私のほうで独自にみんなに指示を出していろいろやって行こう、 それが正しい、そう思っていたところだったんだ。 なのに、わざわざ一席を設けたいのでお願いします――そう言うから機会を設けたのに、実に残念だよ――」
 そう言われて一同は狼狽えていた。
「ちなみに、この点でまさにしっかりしていたのはルーティスとセラフィック・ランド、それからディスタードの三か国だけだった。 はっきり言ってしまうとルーティスは神対応だね、対応が無茶苦茶早くてかなりしっかりしている。 まあ、神対応って言っても、この神対応こそが当たり前の対応なんだけどさ――。 セラフィック・ランドは事情を抱えているから仕方がないけれども、それでもちゃんと必要な情報は逐一報告してくれている、 足りないと思った内容はすぐに情報をよこしてくれるんだ、いいね。 五月雨式でも十分請け合うよ、情報はもらって損するものでもないしさ。 そしてディスタードだけど、みんなも知っての通りだから特に言うほどのことではないだろう。 じゃあ、ほかの国はどうかってことはあえて言わないけれども、 とにかく、この三か国を見習ってほしいっていうのが私からのお願いだ。」

 会議の後、リファリウスはいつものテラスのベンチに寝そべっていた。
「あーやだやだ、まったく、なんの集まりだったんだろうか? こんなのただの時間の浪費じゃないか。 あんなことしている暇があったらほかにやりたいことがいっぱいあったのにマジ最悪。」
 そこへクラフォードとティレックスが恐る恐るリファリウスの元へとやってきた。
「な、なあリファリウス……様……、どうしたらいい?」
「りっ、リファリウス……特別執行官様、何か買い出しに行きましょうか……?」
 その様子を見かねたリファリウスは起き上がり、2人に言った。
「なんだよ気持ち悪いな。さっきの会議の件だろ、いいよもう、気にすんな。 だいたい話した通りだから、あとは察してくれると助かる。 だからとりあえず、今はほっといてくれ。 どうしてもって言うんだったら――今作り中の作品の実験台になってもらうことにするけど。」
 そう言われ、2人は逃げるように消え失せた。
 すると、今度はそこへ癒しモンスターの2人がやってきた。
「大丈夫?」
 カスミが心配そうに言い、ティオも心配そうに見つめていた。リファリウスは答えた。
「ごめんね2人とも、ムシャクシャしてて。 言ってしまえば個人的なことなんだけど、そのせいで何もやる気が起きなくってね――」
 すると、カスミがニヤっとした。
「ちょうどいい実験台きた。今すぐ殺す」