敵の数は減ってきたような気がするが防衛システムだけは働いており、彼らの行く手……いや、むしろ退路を阻んでいた。
「どうしたの!?」
「裏口も正面玄関も完全に塞がれているようだ!」
閉じ込めたつもりか。しかし出口はほかにもある、それは――
「ねえディル、こっち!」
エレイアはディルフォードの手を引っ張り、来るように促した。
「何だ、どうしたんだ?」
「私がつかまたっとき、こっちから逃げ出したの!」
そうか、そう言われてみればエレイアは墓から暴かれ、
その後はここにつかまっていたってことになるわけか、ディルフォードは直ぐに把握した。
「ほら、こっち!」
エレイアはとある部屋へとディルフォードを促し、カードキーで部屋を開けた。
「なんだこの部屋は、ここにエレイアは囚われていたのか?」
「そうなの」
部屋の名前は”女王ヴィーナス・メリュジーヌ様の部屋”と書かれていた。
部屋の中は至って普通の研究室というか、中身は何でもないような部屋だった、
薄暗いから場所があまり把握できていないというのもあるのだが。
「ヴィーナス・メリュジーヌ?」
だがそんなことはどうでもいい、とりあえずここから出る方法を考えないと、ディルフォードはそう考えた。
「みんな、あと少しだよ!」
エレイアはその研究室の奥へと行くと、そこにはもう一つ扉があり、彼らを促した。するとそこには――
「あれっ、ここは――」
そこはとても広く、如何にも豪華でエレガントな家具や天蓋付のベッドのある洋間だった。
「あれっ、ええっと、脱出口はどこだっけ――」
するとどこからともなく声が。
「よく見ろ、その部屋には普通に玄関の出入口があるではないか」
その声の言われるままに部屋を確認すると、
左手のほうに確かに豪華な玄関があるようだった。
「貴様は何があってもイヤだとかダメだとか、そんなことばかりほざいておった。
そしてそんなある日、貴様はその扉から抜け出したのだ、よく覚えておるだろう?」
館内放送か何かのようだが何の話だ? シェトランドたちは困惑していた。
すると、その玄関から大勢の人が一気に押し寄せてきた!
こいつら、あの連絡船に乗っていた連中!? なんでここへ!? シェトランドたちは驚いていた。
館内放送が話を続けていた。
「ああ、ああ、いろんなことが一度に起こったようだな。
まあよい、この際だから一つずつ説明してやろうではないか、なあ、”レディ・ベーゼ”よ?」
レディ・ベーゼ!? どういうことなんだ!?
「私はあなたたちなんかに屈しない! 私のことは構わないで! ほっといて!」
エレイアが訴えるように答えていた、この研究所でのコードネームか何かか?
すると、ルーイがその声に反応して気が付いたようだ。
「はっ! あなたはまさか、”ヴィーナス・メリュジーヌ”!?」
ヴィーナス・メリュジーヌ!?
ヴィーナス・メリュジーヌって、一体――この部屋の入り口にも……
「私は、私は――」
戸惑っているエレイア、ルイゼシアはさらに続けた。
「ディル、気を付けて! この女、あなたのことをたぶらかし、セイバル軍に引き込むつもりよ!」
えっ!?
「違うわ! 私はそんなことしない! そんなことするわけないじゃない!」
「ディル、気を付けて! それがこの女の本性よ!」
「ディル、私を信じて! お願い!」
「誘いに乗ったらダメよ、ディル!」
私は、どうしたらいいんだろうか――ディルフォードは困惑していた。
「ディル……私を護ってくれるって言ったじゃない――」
「ダメよディル! この女に騙されないで! 全部作戦のうちよ!」
ディルフォードは迷っていた、しかしエレイアを見ると――
「お願いよディル、私はあなたの幼馴染のエレイアよ! いつも一緒にいてくれたじゃない!
私のこと護ってくれるって約束してくれたの、忘れたの!? お願い、信じて!
私はあなたを信じているから! ディル!」
エレイアは涙ながらに訴えてきた。
「やっぱり! あなただけ特別カッコいいよね!」
酒場で出会った時の彼女の笑顔――
「やった! うれしいなー!」
話を聞いてもらえることに対して嬉しそうな彼女の笑顔――
「私はあなたと離れるなんてイヤ。もう独りは寂しいの、だから……独りにしないで――」
孤独に耐えられず、ディルフォードと一緒にいることを必死になって訴えてくる彼女のその呼びかけ――
「嬉しい! 私の名前を間違えずに呼んでくれた! しかも初対面なのに、呼び捨ててくれるだなんて――」
名前を正確に呼んだ時の彼女の笑顔――
「わあ! 嬉しい! 私、ディルのお嫁さんになれるように頑張るからね!」
エレイアの嬉しそうな笑顔といい――
「私はあなたと一緒にいたいの、たとえどんな目に遭っても。
私はエレイア、あなたの幼馴染と似た女、本物とは違うかもしれないけれども、
私があなたに出会えたのは彼女のお陰、
そうでなければ私はあなたとこんな生活を送るなんてことさえ出来なかったでしょうね。
だからあなたの幼馴染のエレイアの住んでいた里も知りたいし、
何よりあなたから離れたくないの! だからお願い!」
何が何でもディルフォードと一緒にいたいと願う彼女の必死の訴え――
「ディル、私、怖かった! すごく怖かった!」
恐怖におびえていた彼女の必死の訴え――
「やった! ディルに認めてもらえた! 私、嬉しい! すごく嬉しい!
ありがとうディル! 私もディルのこと愛してるわ!
かっこよくって素敵なディル! これからもずっと一緒にいてね!」
告白した際のその時の彼女の嬉しそうな笑顔――
「ねえディル、私をしっかりと抱いて♪」
それに、彼女のぬくもり――