そんなこんなで新生ガレア軍として新たな門出を切ることになったアール将軍、
その頃になるとガレアもすっかりと様変わりし、まさに1つの町として大きく発展を遂げるようになっていた。
リファリウスとジェレイナは2人でそろってとある場所へと向かっていた、それは――
「3回忌だったかな?」
「いえ、4回忌ですね――」
そう、お墓――エルディック=ランドブリームスが亡くなってから3年が経ち、
その墓前で2人は祈りを捧げていた。
「なんだかんだでガレアもここまで発展しましたよ、
ひとえにエルディックさんのご尽力の賜物と思います。
そんなこと言ったら私が当時副将軍としてここに来たおかげでしょうと笑われますが、
私はみんなで作ったガレアだからと言っていつも一喝していましたね――」
リファリウスはそう言うとジェレイナは言った。
「決して自分の手柄ではない――そこは譲らないんですよね、
自分はあくまで作り手だから相手の要求に応えることが仕事なんだと――」
「形に残るものを作り出すのが私の仕事だからね、
それ自身は当然私自身の手柄になるのは当然のこと、
だからそんなわかりきっていることを主張したってしょうがないんだよ。
それに、町を作るなんてのは単純に1人の成果でできることではないから、
いくら1人で企画立案に設計や陣頭指揮までしたからって私1人の手柄というのはちょっと言いすぎなんじゃないかなと思うけどね。」
なるほど。というか、なんとも謙虚なことで。
「さてと、ガレアの発展はこれからだね。
エルディックさん、また来ますよ、娘さんと一緒にね。」
リファリウスはそう言うとジェレイナもまたにっこりとしていた。
そんなガレアの主要産業だが、実は建築業である。
ガレアを立て直した際のノウハウを生かし、各地への復興支援のためにいろいろと行っている。
無論、帝国の都ということもあって兵器開発にも手を入れているが、
その目的はあくまで防衛用途である。
が、兵器開発となると、とある問題が懸念される、それは――
「本土軍のスパイはどんな感じ?」
そう、不正な外部流出の恐れである。リファリウスは訊くとヒュウガは答えた。
「昨日締めあげたやつで全部だろ、今日はなだれ込んできた感じは一切なしなんだろ。
ったく、印が付いているわけでもないのによくもまあスパイの見分けがつくもんだ」
「印が付いていないって? 何言っているんだ、明確な目印があるじゃないか。
本土軍からきている奴なんか概ね死んだような眼をしているもんだよ。
言っただろ? 連中は人員家畜主義、家畜を飼い慣らしているんだ。
ここに来たばかりのマドファル君を思い出してみるといい、まるであんな感じだよ。
今でこそ丸くなってる彼だけど、当時を考えるとまるで人が変わったかのようだ、
もはやそれぐらい人間が違うと言っても過言ではないね。」
ヒュウガは両手を広げて答えた。
「言われてみれば確かにその通りだ。
ったく、本土軍はそのせいでスパイすらマトモに扱うことができないってわけだな」
そいつは何とも酷い。いろんな意味で。
そんなこんなで情報が不用意に流出するということはそうそうないということらしい。
それに――
「大量生産向きでない兵器作っているのも真似させないためだろ?」
ヒュウガは訊くとリファリウスは頷いた。
「もちろん。
我々の作っているものは基本的には職人の手掛けた作だからね。
だから真似をするのならまずは同じことができる職人を用意しなければならないだろう。
現に本土軍が真似して作ったもののデータもある、
あれは中身がスカスカゆえにまったく使い物にならなかったようだ。」
「見かけだけ似たようなもの作られてもな。
パチモンも度が過ぎると芸術と呼べるものなのかもしれないな」
なんちゅー皮肉だよ。
そんなこんなで……ガレアを中心に周辺各国の被災地などを立て直していったことは想像に難くない。