女神プリシラ、エダルニウスの新しい司令官として君臨し、男という男のすべてを満たす女神は男を従える存在として台頭することとなった。
それによってエダルニウス軍は勢力を伸ばし、支配地域を広げつつあったのだ。
そして、そんな勢力に対して当然クラウディアス連合軍が動き出すことになった。
「よくはわからないがこれで予定通りらしい。
とにかく、俺らはこのままエダルニアに向かうからあとは頼むぞ」
と、ヒュウガはそう言うと、何人かを連れてその場を発った。
乗り物は今度はマダム・ダルジャン号、そして同行者にはアリエーラやフィリス、
そしてフロレンティーナ、クラウディアス特別執行官の”ネームレス”たちをしっかりと揃えていた。
だけど、リファリウスがとられている状況でどうするつもりなのだろうか。
「てか、リリアさんはいないのか?」
クラフォードが訊くとディスティアが答えた。
「いないみたいですね。
なんか、ガレアに行ってリファリウスさんに変わりにいろいろとやっているんだそうです。
とにかく、我々としてはただただ見守っているしかなさそうですね」
向こうも向こうで大変だ、リファリウスがとられている以上は――
だが、その予定通りという状況については女神プリシラの知るところだった……
「プリシラ、どうした?」
プリシラはガリアスにまたしてもリークしていた。
「実はレムレスってば、ここへきて新しい情報をくれたのよ」
ガリアスは当然のように食いついた。
「いよいよか、あのヘンタイ・シャディアスというやつを放っただけのことはあるな」
なんと、ヘンタイ・シャディアスは釈放されていた。
それどころか平静を装ってルシルメアへと戻ってきたのである。
ヘンタイの名が付いているのはレムレス同様に女神プリシラ様の下僕として名を刻んでいる証だそうな……。
そしてヘンタイ・シャディアスは、
この世で一番美しくて麗しくて最高にセクシーで美味しい美味しい魅惑のパーフェクト・ボディな女のカラダの女神プリシラ様からご褒美がもらえるということで、
彼からヒュウガへ向けて情報を発信、つまりは罠――
「それで明日か明後日あたりにクラウディアス連合軍の重鎮共がやってくるんですって」
ガリアスはニヤっとしていた。
「よくやった、これでクラウディアス連合軍もおしまい……いや、そう考えるのは時期尚早か――」
「でも、クラウディアス特別執行官ってのがいて、一度に手に入るわよ。それだけでも効果が大きいのは間違いなさそうね。
だって、なんといってもその特別執行官には――」
それに対してガリアスがやや興奮気味に言った。
「アリエーラ=ヴィルクリスが手に入るというのだな!
待っていたぞアリエーラ、お前は私の、私のものとなるのだ――」
まさかそう来るとは。
こいつ、どうやらアリエーラにぞっこんのようだ、とは言っても彼女は伝説の美女ともてはやされるほどの存在、それも致し方なかろうか。
ただ、その様子にプリシラはなんだかイラっとしていた、
それはそうだ、なんといっても彼女はこの世界を美貌で支配するつもりなのだからほかの女とは相容れられない存在であることだろう。
とはいえ、プリシラについてはお気に入りのレムレスさえいればほかの男はほとんどどうでもいいので、そこまで固執してはいなかった。
「うふふっ、まあいいわ、レムレスったらよくやってくれたわねぇ、
ご褒美のほうもグレードアップさせてあげないといけないわねぇん♥」
そんな彼女を見ながらガリアスは言った。
「それにしても――ガレアの将軍アールと言えばそのルックスで多くの女共と浮名を流すプレイボーイだとは聞くが、なんとも聞いてあきれる話だな。
それがまさか、1人の女に、お前という女にとどめを刺され、完全に心を奪われた挙句、
そのおかげでやつが築き上げてきたというクラウディアス連合軍を陥れることができているのだぞ!
クククッ、もはや目も当てられない状況だな、そうは思わんか?」
ガリアスは何やら楽しそうだった。
リファリウスの現状とアリエーラの話になるとなんだか楽しそうにするガリアス、
プリシラにとってはなんだか意外なことだった。
それはともかく、プリシラは話を続けた。
「連中のやり口はこうよ。
やるんだったら当然、敵が少ないところを狙ってガリアス様を狙ってくることになるわね。
つまり、私らがいないところを狙ってくるのよ」
ん? ガリアスは聞き返した。
「お前たちがいないとは……以前のように手引きしないのか?」
プリシラは言った。
「レムレスが言うには、あえてガリアス様を狙いやすい環境を作らせるためにやることなんですって。
向こうが安心してやってこれる環境だったらそのほうがいいでしょ?
そうすれば、こっちだって安心して行動に移せるわ――」
それを聞いてガリアスは言った。
「そうだ、向こうの視点に置き換えればそういうことか。
そこは流石はお前のレムレス、いつもながら素晴らしいアイデアを考えてくれるもんだ。
私から言うことではないかもしれないが、できればヤツにはもっと幸せを味わってもらいたいところだな?」
するとプリシラは嬉しそうに言った。
「うふふっ、ええ、私の素晴らしい世界を実現するために頑張ってくれるのですもの、
だから今回のご褒美から10段階ぐらいグレードアップするつもりよぉん♥」
ガリアスはニヤっとしていた。
「ククッ、世界を支配することになる女に見初められ、それはそれである意味羨ましい限りだが……なんとも無様な姿だな」
「さあ、この私と一緒に踊りましょう――ウフフフフフ――」
プリシラはレムレスを使ってさらに支配地域を拡大しようと画策していた。
だが、あくまでレムレスは直接使わず、彼には10段階ぐらいグレードアップしたご褒美を与え続けていた。
「はい、私は――女神プリシラ様と永遠に踊り続けます――」
「ほぉらぁ、レムレス♪ あんたは踊るだけじゃあ物足りないでしょ?
レムレスなんだから私の身体でもっと自主規制なことを考えて、もっともっと自主規制なことををし続けなさいな♪」
セリフにもとうとう”自主規制なこと”が入るようになってしまった……。
「ふぁい! 私レムレスは!
この世で一番美しくて麗しくて最高にセクシーで美味しい美味しい魅惑のパーフェクト・ボディな女のカラダの女神プリシラ様の
この世で一番美しくて麗しくて最高にセクシーで美味しい美味しい魅惑のパーフェクト・ボディな女のカラダをいただきます!」
レムレスはこの世で一番美しくて麗しくて最高にセクシーで美味しい美味しい魅惑のパーフェクト・ボディな女のカラダの女神プリシラ様の身体に自主規制なことをし続けていた。
だが、プリシラは急に気を引き締めていた。
「いよいよね……」
そういうことで、ヒュウガたち率いるクラウディアスの一団がエダルニアへと土足で侵入し、
セキュリティ・ゲートも突破してきた。
「手はず通りだな、兵士がほとんどいない。
攻めるタイミングとしては絶好のチャンスだというわけだ」
そこへフロレンティーナが気が付いた。
「エレベータから地下牢に行けるみたいよ!」
フィリスが頷くと「私が行ってくる」と言ってエレベータに乗り込んだ。
「地下は任せましょう。それよりもガリアスです――」
アリエーラはそう言うとヒュウガは頷いた。
「行こう」