ガレア軍の再建と本土軍の実態、
そして、各国の帝国に対する情勢について話についてまとめに入ると、会議は終えることとなった。
それにより、これまでは帝国は一蓮托生に考えられていた常識も破られ、
ヘルメイズとガレア軍は本土軍とは異なる考え方である勢力であるという流れへと向かっていくこととなる。
それは、さらなる戦争の引き金にもなりかねないのだが――
そして――
「どうしたの? 話して来ればいいじゃん、家族でしょ?」
アールは気さくにそう言うと、フロレンティーナは言った。
「だっ、だけど、どう声を掛けたらいいのかと思って――」
じゃあ、こうしようか、私が請け合うよ、それならいいかな?
応接室――
「ごめんね、わざわざ引き止めちゃって――」
アールがそう言うと、グレストが申し訳なさそうに言った。
「いやいや、そういうことならこのまま帰るわけにはいくまい。
さて、そう言うことなら私は一旦退席させてもらうよ、いいかな?」
それに対し、アールは「悪いね。」というが、グレストは――
「いやいや、むしろ、ガレアはとても素敵なところだ、せっかくだからもう少し寄り道でもさせてもらうよ、
将軍様お抱えの美人秘書様にでも案内してもらおっかな~♪」
グレストは調子よさそうにそう言いながら去っていった。
そして――
「さあ、座りなよ。」
アールはフロレンティーナにそう促した。
というのも、応接室にはもう一人おり、今回の目的はその人物である。
アールはその人物の対面のソファに座るように促したのである。
そして、その人物は――会議の場でもよく発言していた”見慣れない顔”の人物である。
しかし、その見慣れない顔は――
「ファロス! あなた本当にファロスなのね!」
見慣れない顔は女性で、名前はカリュア=ストラルーチェという。
彼女はグレスト将軍のもとで働いており、
ガレアに倣って女性部隊であるヘルメイズ特殊女隊隊長を務めている人物であった。
そして、その人物とフロレンティーナの関係は――
「かっ、母さん――お母さん……」
フロレンティーナは涙を流しながらそう言った。
彼女のメレストス姓は父親の姓、両親は離婚して母とは離れ離れに。
だが、その後にフロレンティーナは”人員家畜飼育計画”として拉致されると、
父親は心配させまいとカリュアにそのことを知らせることなく、
そして、自分の子供をそのように育てようとしたことに異を唱えたため反逆罪を問われ、死罪となった。
そして、今回の件をきっかけに、この親子は再び巡り合うこととなったのである。
「ごめんなさい、私、こんなになっちゃって――」
フロレンティーナは不安そうにそう言うが、
流石は母親、カリュアはフロレンティーナのことを優しく抱きながら言った。
「こんなに綺麗になっちゃって、よかったじゃない――」
えっ……そう言われたフロレンティーナは戸惑っていた。
するとカリュアはフロレンティーナの顔をまじまじと見つめながら言った。
「ラミア族になったんでしょ?
こんなに綺麗なんだから、男の子たちも放ってはおかないんでしょ?
優しいあなたのことだから、将来は素敵なお嫁さんになるんでしょうね――」
その様子を見ていたアール、もらい泣きをしながら、その場を立ち去ると、応接室の部屋の戸をそっと締めた。
「邪魔者がいる必要はないよね。私も美人の秘書様にガレアを改めて案内してもらおうかなっと。」