エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

エンドレス・ロード 黄昏時 運命の共鳴

 そして、クラウディアス城内の食堂にて――兵士や騎士がいるその一画にて、 アリエーラとリファリウスを含んだクラウディアスの重鎮たちが朝食を楽しんでいた。
「あのさ、アリエーラさんとシンクロしているのってリリアリスさんでなかったっけ?」
 クラウディアスの騎士団長であるラシルは腑に落ちなかったので聞いた、そういえばそうだったような気がするような。
「だったか? 俺はむしろ、リファリウスとつながっているって聞いた記憶があるんだが――」
 ラシルとは対照的に、クラウディアスの副騎士団長のスレアがそう言った、実際にどうだったっけ――

 ルーティスにおいて、敵の軍隊を攻撃していた時のこと――
「アリエーラさん、今だ!」
「任せてください!」
 と、リファリウスの攻撃に合わせてアリエーラが攻撃を行うと、
「とどめお願いします!」
「はーい。さーてと、何人が生きられるかなー?」
 と、次から次へとお互いが繰り出す技を把握しているようだし、それによって連携もうまい具合につながっていた。
 とにかく、アリエーラとリファリウス、2人のコンビネーションについては非の打ち所がないほど完璧と言えるほどのものだった。 本当に息がぴったりで、まるで、お互いがお互いのことを完全に知り得ているかのようだった。
「本当に、すごいコンビネーションね、まるで1人の人間が2つのことを同時にやっているかのようね!」
 当時一緒に参戦していたデュシアという女ハンターは2人の戦いぶりを絶賛していた。
 話はさらに続いた。
「それにしてもアリ、あなた、リファとは初対面じゃあないよね? リファリウスなんて名前も知っていたぐらいだし。 それに、初対面だったらあんな息ぴったりのコンビネーションはできないしね。 あと、あなたたちは話し方がどことなく同じように感じるし、絶対にどこかで通じているよね?」
 デュシアにそう言われたアリエーラ、なんだか思い当たる節があるようだった。
「まあ……そうですね、確かに、リファリウスさんと一緒に居て、 なんというか、昔から仲が良かったように感じますね。」

 そして、少し前に今朝と同じようにお城のテラスにて、 その時もアリエーラとリファリウスは誘われるかのようにお城の5階のテラスへと赴いて話をしていた。
「ここは――いい場所だね、やっぱりこの光景、知っているような気がするよ。」
「確かにそうですね! なんだか懐かしい光景に思えます!」
 リファリウスとアリエーラはその場所に懐かしさを感じていた。 そして、テラスにあったテーブルのベンチへとお互いに顔を向かい合わせながら座ると、 遠くの水平線に沈みゆく夕日を眺めながら話を始めた。
「えっ? 今、エミーリアさんについて考えていましたか?」
 と、アリエーラはリファリウスが何を言うよりも前にそう言った、すると――
「やっぱりそうか……、どういうことなんだろうか、 私とアリエーラさんとではまるで意識を共有しているような気がするんだ、 完全に共有しているわけではないけれども、なんというか、”意識の中で共有している”部分があると言えばいいのか、 そんな感じがするんだけど――」
 すると、アリエーラも言った。
「私も、そう思っていました。 確かに、”見えている”ような感じなのに、一方で”見えていない”のかなって感じることもありましたが、 ”意識の中で共有している”部分があるということなら納得です、 ”見えていない”のは共有していない部分ということになりますからね。」
「でも、恐らくだけれども私とアリエーラさんとはシンクロしている気がする。 この前ルーティスで戦った時なんかがまさにいい例で、あの時なんかはすごく戦いやすかったしね、 私たちはつながっているのかな?」
「つながっているのならいいじゃあないですか?  普通の人間同士ならつながっているハズはないので、つながっている私たちは幸せってことですよ、そう思いません?」
「確かに、その通りだよね! なんていうか、こう言うのも変な気がするけれども、これからもよろしくね、アリエーラさん!」
「はい、リファリウスさん! これからもよろしくお願いいたしますね!」

 さらに、話は先日、クラウディアスにディスタード帝国が侵攻してきたときの話である。 リリアリスとアリエーラは話をしながらアクアレア・ゲートの前線へとやってきた。
「よし、じゃあ早速、”あれ”をやるか。」
「”あれ”ですね!」
「”あれ”楽しみ」
 リリアリス、アリエーラ、カスミはそれぞれそう言いながら揃いも揃ってワクワクしていた。
 それはまさに、クラウディアスを守るための極意である。 それが行使できるということは、もしかしたらこの2人は初代クラウディアスの生き写しともいえる存在なのかもしれない。
 そして、この2人は意識がシンクロしている、つまり、”あれ”と言われて何をやればいいのかがわかるのである、それは――
「リリアさん、”精霊召喚”ですね!」
 アリエーラはそう言うと、リリアリスはニヤッと笑っていた。
 そしてその後、互いに意識をシンクロさせ、強大な敵を斃すために精霊召喚を完成させたのである。

 ということで、方やリファリウスとアリエーラとのシンクロエピソード、 方やリリアリスとアリエーラとのシンクロエピソードについてそれぞれ話題に出し、 ラシルとスレアは指摘したのである。
 それに対し、リファリウスから、あらぬ答えが返ってきた。
「ん? なんか、どこかおかしい? つまりはそう言うことだよ。」
 えっと、どういうことだ、2人は訊き返した。 それに対し、エミーリアが言った。
「リファリウスお兄様とアリエーラお姉様、そして、リリアリスお姉様とアリエーラお姉様―― つまり、リファリウスお兄様とアリエーラお姉様とリリアリスお姉様の3人がシンクロしているってことですよね!」
 えっ、まさか、3人でって言うこと!? 2人は耳を疑った。
「そもそも論として私と姉様――リリアリス姉様がつながってるから必然的にそうなるんだよね。 だから当たり前と言えば当たり前なんだよ。」
 と、リファリウスは当たり前のようにそう言うと、 ラシルとスレアの2人はお手上げと言わんばかりの態度でアクションした。
「なんか、ある種のご都合主義みたいな感じがして”いいのか、それで――”って思うのは俺だけだろうか」
 リファリウスに連れられてきていたヒュウガがボソっとそんなふうなことを言っていた。
「まあまあ、硬いこと言わないの。間違ってないでしょ?」
「まあ、間違っているわけじゃないとは思うが、当たっているわけでもない気が――」
 そういうヒュウガの感想により、
「もういい、どうでもよくなってきた気がする」
「ボクもです――」
 ますます意味が分からなくなっていたスレアとラシルの2人だった。