フレアとクラーネアはゲートへと入った、クラーネアはフレアを見送りたいということで一緒に入ったのである。
そのためか、今回はゲートに入ってすぐに未来世界というわけではなく、
一度特殊な空間へと連れてこられたのである、当たりは真っ暗だが。
「見送りだなんてわざわざ悪いな」
フレアはそう言うがクラーネアは首を振った。
「いやいや、ついでだからあんたに話したいことがあったんだよ。
それはシルグランディアのことだね」
シルグランディア?
「彼女がどうしたのだ?」
すると――クラーネアがため息をついていた。
「その、アヴァリス・シンボルのことだけど――彼女はなんて説明していたんだ?」
フレアは彼女から聞いた話をした、すると――
「やっぱりね、うまーくごまかしているようだね……」
え、まさか――本当に? フレアは可能性について言及した。
「そうさ、実は彼女もまた先天的なアヴァリス・シンボルの所持者なんだよ」
冗談だったのに! フレアは悩んでいた。
「”万物を創造する者の春”というものなんだよ。
万物を創造するということは生命さえも生み出す――
つまり、アバズレビッチへの暗示に組み込まれていた内容は、
そもそも彼女には基本的に含まれていることになるね」
うそやん……フレアはますます悩んでいた。
「だが――これまでの彼女を見てそんなのがあるなんて半ば信じらんないんだが。
それこそ第2級精霊の頃だって豊穣の精霊のように暴走するのを見たことがないし、
それこそエメローナだって2,048年も男はいなかったし、そのようなことをしていたような気配すらなかった」
クラーネアは頷いた。
「それはそうだよ、だって、彼女のアヴァリス・シンボルの発動条件はあの彼女にしてみれば最も発動条件が厳しいものになるからね」
え? そうなの?
「考えてみればわかることだよ、だって――シルグランディア女がアーカネリアスまで途絶えることなく物理世界に存在し続けているのはどうしてだと思う?」
確かに――素の性格で言えば、男なんて要らないっていう気概のある女性、そしてプリズム族――
「そもそも男ができるかもわからないのにできたとしても子供が生まれるかどうか悩むところだな」
それに対し、クラーネアが指摘した。
「まさにそれだよ。
つまり、妖魔種族の女性だからなかなか子供ができない……ならどうするか? もちろん回数を増やすことだが――」
……まさか!
「そのまさかだよ。
シルグランディア女は男ができたら……もっというと”行為”をトリガーにしてシンボルが発動するんだ」
えぇ……それはそれでまた表現しづらいタイプのものじゃないか――フレアはその話を聞きたくはなかった、
一度味わった感覚を……っていうまた別の意味でのヤバイやつ……
でも確かに、バルファースとはずーっと”毎日やっている”って話を聞いた気がするな……しかもはっきり××××しているっていう節すらもあるし。
「しばらくしたら収まる……んだよな?」
「もちろんだよ、強靭な精神力が備わっているからある程度子供を作り終えた後はそこで打ち止めってことだね」
理に適いすぎているな……。
「もちろん、ただ悪戯にこの話をしたかったわけじゃない、肝心なのはここからだよ」
クラーネアの話は続いた。
「というのも、豊穣をもたらす者の春を悪用って話をしていたけど、
本当は万物を創造する者の春を悪用した事の顛末なんだよ」
フレアの頭はショートした。
「だが、今の話の通り、万物を創造する者の春をそのまま悪用するのでは発動は厳しい、
だから豊穣をもたらす者の春の性質とを掛け合わせてさらに改良を施したんだよ。
それでできたのがエロ……いや、絶対にして唯一無二の女王への啓示なんだよ」
えぇ……ということはつまり――
「エメローナのアヴァリス・シンボルが消せなかったのは、改造されていたとはいえ、そもそも先天的に持っているものだったからできなかったということ?」
「そういうことだね」
エメローナ……フレアはますます悩んでいた。
「当人はその事実を知っているのか?」
「もちろんだよ、だから隠そうとした――以前に問題を起こしたことのある豊穣の精霊のせいにしてね。
悪気はないんだろうけど内容が内容だから流石に彼女を責められないけど。
でも――私から何それとなく言っておくよ、正直に言うようにさ」
そんなことしなくたって――フレアはそう考えた、内容的には当人が墓場にまで持っていきたいもののハズだし、
フレア自身も墓場まで持っていきたいような内容である。
「ともかく、ネシェラに起きているのも先天的なものの効果によるものだから、
それゆえに魔法が薄まったアーカネリアス時代にも残りやすかったというわけだ。
確かに”邪悪なる者”さえ何とかなればいいのはその通りだけど――その代わり、あんた自身が彼女の行動に対して何事も受け入れる覚悟をしなきゃダメってことだね」
どうやらその通りのようだ。
最後に。
「あの画面には表示がなかったようだが、
本当は”万物を創造する者の春”まで黒塗りするとほぼ真っ黒……とまでは行かないまでも、
それでも見せてもらったもの以上に黒い空間になっているってことだよな?
そして、つまりバルファースとのことでエメローナの先天的なアヴァリス・シンボルは既に発動しているということだな?」
「そうだね、その2つの問いについてはどちらもイエスだね」
え、じゃあ――
「バルファースがいない間はどうしているのだ?」
それは――クラーネアは口をつぐんでいた。
「まさか隠れて――やっているのか?」
クラーネアはため息をついていた。
「万物を創造する者の春の効果なんだ、多めに見てあげてもらえない?
ちなみに言うと――ラムルの里で”魔物”となっているんだよ」
ラムルの”魔物”……理性のないプリズム族で本能のままに男と……
つまりはセックスレスが続くことで理性まで吹き飛んでしまうということか……。
「あと、この1か月ほど精霊界を抜け出していたじゃないか?
その時はアルタリアや街道などで悪漢たちに絡まれると、そのまま……いや、これは辞めておこうか」
そこまで言えばもはや手遅れです。
「……なるほど、よくわかった、聞かなかったことにしておこう――」
私も聞かなかったことにしておきたい。