ラスト・プレリュード ~運命の黄昏 忘れられし物語~

第3章 真に邪悪なる存在

第36節 謎の精霊様

 あきらめかけたその時だった、天空から一筋の光が――
「ん? なんだあれ?」
 3人はその光の存在に気が付いた。
「ふっ、今度はなんだというのだ――まあ良い、地獄に落ちるがよい!」
 しかし、その光はカオス・ドライブの頭を貫いた。 するとなんと、カオス・ドライブの頭部が激しく炎上した!
「なん……だと……」
 カオス・ドライブはもがき苦しんでおり、 その場で崩れ去ると、その大きな身体は灰となり、一瞬にして消え去った!
「なっ!? 何故だ!? 我のカオス・ドライブがどうして!?」
 上を見上げた4人、そこにはまるで天使のような女性が!
「まったく、こんなところに悪者がいるなんて許せませんね!」

 その女性は高いところから飛び降りると、フワリとその場に着地した。 そんな女性の風貌はセクシーな姿丸出しなフェリンとは対照的に、 袖口や裾に赤いダンダラ模様があしらわれたフード付きの白いローブ姿という、 どこかで見たことがある……人もいるかもしれないような服装の落ち着いた感じの女性で、 金色の長い巻き髪にローブの中身は黒のトップスに真っ赤な短いスカートを履いていた。 だが、それよりもなんと言っても特徴的なのは背中の金色の翼だった――
「次はあなたですか!? いきますよー!」
 その女性は右手から光り輝く矢を発動! なんと、ジェラレンドの身体が貫かれた!
「ぐわっ! なんだキサマ! 一体何者だ!」
「うふふっ、名乗るほどの者でもありませんわ! さあ、何もしないのならどんどん行きますよ!」
 彼女は今度は杖を取り出すと――
「行くわよっ! 抜刀・ツバメ返し!」
 仕込み杖だ!  杖からいきなり白銀に輝く刃が現れると、その刃でジェラレンドの身を切り返した!
「ぐはぁっ! ば、ばかな! 我の身体を傷つけるなど! ありえぬ! ありえぬことだっ!」
 だが――
「まだまだぁ! 活殺・破邪法!」
 彼女はさらに力を込めると、そいつに拳を突いた!
「ぐわぁっ! な、なんだ――力が抜けていく……」
 なんと、まるで闇のような身体だったジェラレンドの体が徐々に形を成して――
「実体化している!? そうか――ジェラレンドの闇が減退しているのよ!」
 フェリンは気が付いた。
「闇!? そっか! なんか手ごたえが薄いと思ったらそう言うことだったのね!」
 おい、気づけよ、なんで攻撃が透過しているっていう相手に攻撃が当たるんだよ、 3人とも彼女の存在に唖然としていた。
「だったらトドメはこれよ! やあーっ!」
 彼女はジェラレンドに激しい二段切り、そして――
「ファイナル・レター!」
 最後にもう一撃、激しい切り抜けを放つとジェラレンドの身を切り裂いた!
「そ、そんな、そんな――準備は十分だったハズ、それなのに、それなのに――」
 そして、そのままジェラレンドの闇の力は完全に離散した。 周囲は普通の暗さぐらいまでの明るさを取り戻した、ジェラレンドを倒したことによるものだろう。
「あんまりひどいことすると、おしおきよ!」
 ……なんか聞いたことあるセリフだな、彼女の使っている技も――

 その場は落ち着きを取り戻すと、とりあえず話をすることにした。
「あなた、誰?」
 フェリンは彼女に訊いた。
「私はミスティーアと申します! 見ての通り精霊です! 以後、お見知りおきを!」
 精霊と言われてもこの世界では珍しくない存在、しかしそれでも珍しい要因が――
「この世界でそんな大きな翼を生やしている精霊ってすごく珍しいわね、 この世界が創世の頃にはそういう精霊もいたって聞いたことはあるけれども」
 フェリンはそう訊いた、それはライズも聞いたことがあった、 この世界の、”セント・ローア”と呼ばれる創世の時代ではそういう精霊が普通にいたという話である。 それにしても、ずいぶんと神々しい翼である。
「とにかく、助けてくれてありがと!」
 フェリンは素直にお礼を言うと、ミスティーアは――
「いえいえ、どういたしまして! 私こそ、おかげでレベルアップしちゃいました!」
 と答えた、レベルアップ? 3人は首をかしげていた。
「ああ、いえ――、これほどの強敵を倒せたんだなって――今のが”七魔性聖”っていうやつでいいんですかね?」
 知っててやったんじゃないのか――3人は悩んでいた、なんか妙な人だなぁ……。