フィルフォンドから経った日、それは聖獣デュライアの葬式が盛大に行われることになった日だった。
たくさんの客が訪れる――この世界に住まう他の聖獣たちもデュライアの最期を見届けに来ることだろうが、
その際は人知れず人の姿でお忍びで訪れるのだろう。
しかし、葬儀に巻き込まれると大変なのはわかっているため、
2人は早々にフィルフォンドを出て、遠くから彼女の死を悼むことにしたのだ。
それより、次の目的が早々に決まった。ワイアンドがどこにいるか情報を得られたということである。
それはレサレフトの遺跡の近くというところで、たまに人が彼を求めてそこに行くのだそうだ。
レサレフトの遺跡、ライズにはさっぱりな場所だが例によってシェリアが知っているというので、案内してもらった。
ライズとシェリアはワイアンドのもとへと赴くため船で旅に出た。船はエルカトーネに向かって進んでいた。
「なあ、レサレフトの遺跡ってどんな遺跡なんだ?」
ライズはシェリアに訊ねた。
「レサレフトの遺跡はクロノリア山の近くにあるわ。
大昔に”シュリウス”って呼ばれる遺跡となった廃墟の町があったんだけれど、その近くね」
遺跡の近くに廃墟となった町の遺跡――なんだかややこしい。
とにかく、シェリアのワナにかかりながらも、ライズたちはそこへ目指した。
「ねえ、私のワナにかかるの、本当はすごく楽しんでいるでしょ?」
「そんなことはない!(←そんなことはあるやつのセリフ)
だからもう、勘弁してくれよ――(←もっとやってくれという意味)」
エロ猿ライズは期待に胸を膨らませていた。胸の膨らみと言ったら――変態ライズなら気にしないわけがない。
早々にエルカトーネの町を抜けた2人、やはり聖獣デュライア追悼効果は激しく、町を楽しんでいる暇はなかった。
だが、街道へと出てしばらくすると、何やら人だかりが――あれは、ハンターたちか?
そんな雰囲気を匂わせている連中が集まっていた。
「おい、なあ、どうかしたのか!?」
ライズは気になったので訊ねてみると――
「お前たち! 気をつけろ! ”七魔性聖”が出たんだ!」
ハンターのターゲットは”七魔性聖”、それも、まさかの”陽炎のクオラール”だという!
「えっ、だって、”陽炎のクオラール”は倒されたハズでは……!?」
「それだけじゃない! ”暗黒のザール”も生きていることが判明した!」
なんだって……!? 倒したはずのあいつらが生きているって!!?
なるほど、”七魔性聖”……やはり只者ではないということらしい。
そんな連中を相手にやっぱり勝ち目などないということなのだろうか?
「通るのなら街道から南にそれて行ったほうがいい! どっちも北よりで遭遇するって話だからな!」
ハンターたちはそう忠告してきた、
そういうことなら――まずはワイアンドに会ってメレア姫の願いから片付けてしまおう、ライズとシェリアはそう考えた。
”七魔性聖”は――今はどうしようもなさそうだ……。
そして、レサレフトの遺跡の近くにある”シュラウト”遺跡……ようやく1つの目標拠点へとたどり着いた。
なるほど、古の時代は”シュリウス”と呼ばれていたような面影のあるネーミングか。
とにかく、その遺跡付近でテントを張り、一晩明かすことにした。
「どう? いい感じ?」
「ああ、テントはばっちりだ。それより、食料があまりないな」
「そうだね。でも、さっきの宿場町で少し食べすぎちゃったのかな、あんまりお腹すいていないんだ」
少し前に立ち寄った昼食は最高だったという2人、食べ過ぎた感はあった。
とにかく夜も遅いし、2人は早く寝ることにした。
「まさか、あの破壊の悪魔が――存在していたことに加え、討伐されるとは――」
また大臣ルームでのお話である。
「ヴィラネシアめ、よもや本気で我の計画の邪魔をする気か、我の切り札を破壊されるとは――」
「しかし、まさかウロボロスが我が主の隷だったとは――」
「あれは、この世界に存在しているウロボロスと呼ばれるものとはまったく異なる存在だ。
言ってしまえばウロボロス・ドライブこそが他のウロボロスの原型、
いわば、ほかのウロボロスの存在はそれのバグによって生み出された存在ということだな」
「バグ、ですか?」
「ウロボロス・ドライブというのは非常に不安定な存在でな、
ありとあらゆるを破壊する衝動が強すぎるがあまり、稀にその意思だけが暴走することがあるのだ。
それにより、この世界を破壊しつくす者、つまり、いわゆる”ウロボロス”という存在として目覚めることがあるのだ。
しかし、まさかそのオリジナルのウロボロスたる、あやつが破壊されるとはな――」
「それにしても、ヴィラネシアというのは非常に厄介な存在ですな、
あの女の手でウロボロス・ドライブほどの存在を破壊するとは」
「それは違う。そもそも、あの女だからこそウロボロス・ドライブを破壊できたといってもいいだろう。
無論、それは古の時代と同じように英雄気取りの力を介することで初めて成しえることだが――
あの女にしてみれば英雄気取りを得ることなど造作もないこと――」
ヴィラネシアだからこそウロボロス・ドライブを破壊できたというのはどういうことなのか下々の者は理解に苦しんでいた。
「ウロボロス・ドライブを失ったことは少々痛手だが、
とりあえず目的は果たした、後は計画を実行に移すのみだ――ザナガルス、予定通り作戦を開始せよ」
「はっ、我が主よ、仰せのままに――」