ある日、ハンターズギルドへ赴くとそこはとんでもないお祭り騒ぎとなっていた。
「なんだ? どうしたんだ?」
ライズは理由を知るため、受付に話を聞いていた。
「お城の重鎮たちがヴィラネシア討伐のためにって本腰を上げてきたんだよ。
それで、有益な情報を提示したものに対し、10万ローダ以上出すってよ!」
10万以上!? 以上ってなんだ!? ちなみに、10万といえば一般的な年収がこのぐらいである。
「10万は最低ラインだ、些細なものでも有益な情報1件で10万だ。
但し、ヴィラネシアの顔情報が割れた暁には500万出すってよ!」
500万だって!!? それはさすがにそそるなぁーライズはそう考えていた。
しかし、フェリンは消極的だった。お昼時に2人で話をしていた。
「でも、お城の重鎮たって、その中心は大臣でしょ? 本当に出すかどうか怪しいわよ」
うっ……それは確かに。でも、これでヴィラネシアを討伐するための足掛かりとなったわけだ、
だって、これだけの額がっ! って話になると、それは誰だって飛びつくだろう――そしたら話も進展していくわけだ。
「うーん……でも急に話題から消えたような状態だし、だから無茶苦茶な額を提示しただけって感じもするけれども――
慎重だな、確かにその通りだ。夢はあくまで夢、女性はその点現実的だった。
昼食の後でギルドに戻ってくると、やはり話題はヴィラネシア、ヴィラネシア・フィーバーが巻き起こっていた。
その中で早速情報が!
「ヴィラネシアは女! 女だって情報が得られたぞ! これで10万ローダはどうだ!」
情報屋が得意げに情報を売り込んでいたが、果たしてどうだ!?
「ん? や、ちょいと待てよ?
てか、そもそもヴィラネシアって”妖艶なヴィラネシア”で通っているんだから、
誰しもが暗黙的に女だと思っているわけなんだが?」
ライズはそう言った。
「それに、ヴィラネシアは男をたぶらかすような能力持ちとも聞いたぞ、”妖艶なヴィラネシア”とも言うぐらいだからな。
だったら男にとって目の保養となるぐらいの女だというのはなんとなく想像できる範囲だと思うが」
と、いろいろと外野に突っ込みを入れられた挙句、有益な情報として採用されることはなかった。
情報と言ったってせいぜいこの程度が関の山だ、10万ですらやっぱり夢のまた夢なのである。
そんな中、とうとう有力な情報が!
「なんだって!? ヴィラネシアの故郷!?」
これはいろんな意味でショッキングだった。
所在までは突き止められないかもしれないけれども、
しかし、故郷ということになると、もしかしたら顔情報までゲットできる可能性がある。
つまり討伐対象として認識しやすくなるため、
これは情報としては価値が非常に高く、50万相当の額と言われても頷ける話だ。
故郷が割れた理由はもちろん、ヴィラネシアがヴィラネシアたる行いをしたからこそである。
それが故郷であるかまではわからない場合もあるが、当然調べてみない手はない、
だからライズとフェリンは早速そのヴィラネシアの故郷という場所へと行くことにした。
その船の上でライズとフェリンは話をしていた。
「まさしくお姫様のお忍び旅行ってやつだな」
「ふふっ、確かに。それより、ライズは外国は初めて?」
「俺は――はじめてではないな。何度か船も乗ったことあるよ。そういうフェリンはどうなんだ?
やっぱり旅をしているっていうぐらいだから、あちこちに行っているんだろうな」
「そうでもないよ。だって、”七魔性聖”がいるから、あんまりあちこちには行けないよ」
確かに、やつらの存在がこの世を脅かしているもんな。だからライズはやつらを――
「まずはヴィラネシアを倒す!」
「倒すの? だって、私たちに与えられたミッションは――」
「わかっているよ。でも、最後は結局俺たちの手で何とかすることになると思うんだ、だからこの手で――」
この手で絶対に倒す! その様子にフェリンは違和感を覚えた。
「ワケアリなの? よかったら聞かせてくれない?」
そうワケアリだったのだ。この際だから話しておくことにした。
ライズはトライトのハンターズギルドにいるが、実はもともとここ出身の者ではない。
彼は戦災孤児で、いろいろとあってトライトに流れ着いたのだ。
「戦災孤児?」
「ああ、一応扱いはな。だけど本当は、俺が孤児になった理由は”七魔性聖”のせいなんだ」
”七魔性聖”の中でもほぼ最強とまで言われる”審判のナムキアソ”、
あいつがすべてを、故郷やみんなを殺した――だから彼は各地でこの世界を脅かす”七魔性聖”ってやつを許さないんだ。
「ナムキアソ――」
フェリンはそうつぶやいた。ナムキアソ、誰しもが認める絶対悪にして最強最悪の敵である。
あいつが生み出されたのは忘れもしない25年前のあの日――
そう、そいつが生み出されると、人々の間ではその日のことを”世界を灼いた日”と呼ぶようになった、
つまり今は”世界を灼いた日”から25年後ということである。
「ナムキアソに挑むのはやめたほうがいいわよ。
だって、あいつは単に強いとか、そういう次元の敵じゃないから!」
確かにそう言うことを言う人の気持ちもわかる。現に多くの人からも言われてきたことだった。
けれどもライズは引く気はなかった、だって、やつらは――両親や友人たちの敵だ。だから絶対に倒す――
「ナムキアソは――倒せないよ、絶対に――」
何度言われようが、彼は――