運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

System Busy

Sorry, System Failed, Try Restart.

 しかしその時――
「な、なんだ!? また地震か!?」
 またしても世界全体を揺るがす激しい地震が!
「お、おい! これは!?」
 ロイドは慌てているとシルグランディアも慌てた様子で言う。
「こ、これ! 余程のデカイ地震ね! 古いシステムだからこの衝撃だと持たないわよ!  もう一回リカバリーかかると思うから覚悟してて!」
 はあ!? どういうことだ!? ロイドはそう言おうとすると次の瞬間――
「え……?」
 周囲は再び自分と透過しているシルグランディアの2人だけを残し、青い空間へと放り出されてしまった――
「なんなんだよこれ!」
 ロイドは叫んで訴えていた。
「ちょーっとこれは……多分このままじゃあこの世界は続かないかも――」
 シルグランディアは嘆いていた。
「ならどーすんだよ! やっぱりこの世界はこのままおしまいかあ!?」
 するとシルグランディアは――
「いえ! こういう時にトリュオンよ!」
 トリュオンを? ロイドは差し出して訊いた。
「でも、ほかの連中を目覚めさせるのに必要なんじゃないのか?」
「それは大丈夫! この精霊石に彼らが共にいる記憶をそっくりそのまま封じてあるから!」
「さっきの集まりの時に保存したのか、流石だな。だが、それだとアグメイア――」
「トリュオンからアグメイアの記憶もこの中にロードしてあるから大丈夫よ!」
 そんなことまでしているのか、それなら大丈夫か……。

 再び長い時間をかけ、精霊界へと戻ってきた。
「とりあえず、”葬られた害悪”を再び葬ってきたぞ」
 とにかく、いの一番に最初に作り出した”世界崩壊の記憶”でそいつを倒すと、 やはりというべきか、”プリズム・ロードの記憶”が現れた。
「よしよし、そこにこの記憶を……”ロイドとその仲間たちの記憶”をジョイント!  記憶ってさ、断片を組み合わせることで1つの記憶ができることもあるじゃない?  そういった仕組みもあるんだけど――」
 だが、それをするには記憶の精霊の力が必要らしい。
「とりあえず疑似的にだけどなんとか似たようなことをやって見せたわ。 さあさ、”ロイドとその仲間たちの記憶”の中でみんながお待ちかねよ。」
 なんでもいいが、その”ロイドとその仲間たち”ってやめないか? ロイドはそう思った。

 その記憶からアグメイアを除く仲間たちが飛び出してきた。
「一時はどうなることかと思いました――」
「幾度となく世界が消え去るとは――予断は許さない状態が続いているということか……」
 シェリアとカルディアスはそれぞれそう言った。そして……
「ふふっ、みんなでアグメイアアグメイア言うから彼女の道筋ができたわよ。 さあ、準備できたら行って!」
 シルグランディアはそう言いつつ記憶の結晶を手渡した、それは――
「なっ!? これ……ユグドラの記憶が封じられているのか!?」
 ロイドは驚いていた。
「ということはつまり、この世界の生命の流れが復活する可能性があるということか!?」
 カルディアスはそう言うとディルナもワクワクしていた。
「そうなると、この世界の生命が復旧するんじゃない!?」
「でも、人間の世界はあのような酷い状態、復旧するのは世界を管理する精霊たちだけということになるじゃろうな――」
 ララミィは冷静だった。
「でも、精霊たちだけでも再生できれば世界は蘇るんだろ? なら、それでいいじゃねえか!」
 さらにアルドラスはそう言うと、フェルメリアが懸念点を――。
「ですが、そうなった場合、現状の私たちの存在が危うくなるということが気になるところですね――」
 え、どういうこと? シルグランディアは頷いた。
「あんたたちは記憶の力を使って疑似的に生命体を再現しているに過ぎないからね。 だけど、そこにユグドラの力を復旧させてなんやかんやし始めると…… もともとはユグドラの管理下で生み出されたあんたたちは再びユグドラの中に戻されて再び新たな生命として生まれる日まで待つことになるハズね。」
 それというのはつまり――
「私たちは消えてしまうってことですか!?」
 ディルナは驚いていた。
「そう、ここはあくまで精霊の領域、世界の管理者でない者の存在はそうなってしまう運命をたどることになるだろうな――」
 ロイドはそう言った。しかし、カルディアスは――
「世界崩壊ということはそう言うことだったな? 私としてはもとよりそのつもりだった。 そう……この世界が滅びの運命から避けられないのであれば、それならまだ希望のあるほうに賭けたい――」
「その気持ちは今でも変わらない?」
 シルグランディアはそう訊くとカルディアスは力強く頷いた。
「もちろんだ。 それこそ、私の妻子もユグドラの中で再生の時を待っているハズだ!  我々のできることはみんなの命を再生するためにつなぐこと、それしかないと思うのだ!」
 それにはシェリアも賛同した。
「そうですね! 私はプリズム族です!  カルディアスさんのような方がいるとなれば私もそれに続かないわけにはまいりません!」
 ディルナも続く。
「私の仕事はシルグランディアの仕事! シルグランディア流の仕事の伝統を絶やすわけにはいかないよね!」
 ララミィも……
「そうじゃのう! わらわの血はシルグランディアとプリズム族の血を含んでおる!  ゆえにわらわも行かねばならぬのじゃ!」
 アルドラスも――
「ま、ここで置いてけぼり食らっても仕方がねえからな!  俺の最後の命、どうせなら有意義に使わせてもらうぜ!」
 そしてもちろんフェルメリアも――
「世界に恨みを持つ者の精神―― だけど、そんな者でも世界を愛する者なんだって言うことを証明して見せます!」
 それぞれ決意を新たにすると、ロイドは頷いた。
「よし、みんなの想いは俺が引き受けた。 さあ、シルグランディア、頼むぜ!」
 シルグランディアは頷いた。
「OK。いよいよ私の最後の大仕事ってわけね。」