運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第2章 オンナの星

第32節 暗黒物質

 問題は光が照らし出したものである。
「やっぱりな、思った通りだ――」
 と、フローナル、それもそのはず――
「なに? これがどうしたの?」
 フィレイナが聞いた、それは光をも受け付けないような真っ黒な物体が巨大な容器の中に封されていた。
「なによこれ……こんなもの、初めて見たわね――」
 フィレイナはそう言った。すると――
「ああ、実は俺も初めて見た――ハズなんだが……」
 フローナルは頭を抱えながら言った、つまりはそういうことか。
「でも、これのせいでエーテル場が乱れている……場のエーテルが失われているのはわかった。 問題はどうしてこんなものがここにあるのかになりそうね――」
 シェリアは身構えていた――
「なんか、すごい引き込まれてしまいそうです――」
 フローナルは身構えていた。
「この場に長居するのは得策じゃねえな、一旦引き返そう!」
 ところが――
「えっ……!?」
 なんと、何処からともなくその容器に刃のようなものが突き立った!
「何っ!?」
 フローナルは驚くと、それと同時に容器には無数のヒビが!  そして容器は完全に破壊された!
「なっ!? くそっ……」
「これは――」
「とてもマズイ状況です!」
 3人はその黒い物体に引き込まれていた!
「こっ、これって一体何なんですか!?」
 シェリアは訊くとフローナルは言った。
「俺にもわからん……が、とてもヤバイ代物であることは間違いない!」
 すると、フィレイナは――
「なるほど、これが暗黒物質”ダーク・マター”ってやつか――」
 ”ダーク・マター”って!?
「文字通りの暗黒物質よ! 少なくとも宇宙に存在しているもので、宇宙の闇の色を形成するものとも言われているわ!  本来はただの闇そのものでしかない物体なんだけど、宇宙には文字通り無限の可能性が秘められているからね…… 悪用することでとんでもないものを引き起こすことができたりするのよ!」
「とんでもないことってどんなことだ!?」
「今、私らがさらされている事態がそうよ!  最悪、この暗黒物質に取り込まれて無へと返される可能性もあるわ!」
 すると、フローナルは――暗黒物質に立ち向かった!
「フローナルさん!」
「ちょっと、何をするって言うの!?」
 2人は心配していた。
「こいつは……何者かに細工されているってことだな。 確かに、闇そのものでしかないくせになんだかこの闇の向こう側からとても嫌なものを感じる―― この暴走を止めなければとんでもないことが起こりそうだ――」
 と言いつつ、彼は剣を構え――
「フローナル!」
「フローナルさん! ダメです!」
 だが……
「いや、こいつは力のバランスが失われている……どのみち俺らは助からない。 だから……大きな力をぶつけて吹っ飛ばしてしまえばいい、そうすれば――」
 なるほど、フィレイナは考えた。
「どうやら、とんだ貧乏くじを引いちゃったってことね。 いいわ、そう言うことなら付き合ってあげるわ。 ただし、そのツケは……この星に払ってもらうことにしようかしら?」
 と、彼女も得意げに剣を取り出すと、暗黒物質に立ち向かった!
「そんなの聞いてません! でも――それしかないというのなら!」
 シェリアもまた立ち向かうことにした!
「よし、一斉のでいくぞ……いっせーの!」

 3人は暗黒物質に向かって思い思いに魔法をぶち当てた!  暗黒物質から放たれる吸引力が一旦中断されると、そのスキに3人は遺跡から素早く脱出した!
「ディルナ! 頼む!」
 フローナルはそう言うと、彼女は手早く転送収容した!  しかし、フローナルは転送先であるクリーン・ルーム……所謂身体についている宇宙ゴミを除去する部屋をさっさと振り切って――
「おっ、おい! フローナル! 早く出てきたらダメじゃないか!」
 カルディアスは彼を注意するが、彼に続いてフィレイナまでもが――
「ちょっと退いて! いいから早く!」
 と、彼女は艦を操縦しているクルーを退け、手早く操作した――
「間に合いなさいっ!」
 すると……彼女はディメンジョン・ワープ機能を実行!
「お、おい!」
 カルディアスは焦っていた、すると――」
「フィレイナ! 始まったぞ!」
 フローナルは惑星UNP00002が黒く覆われている光景を確認すると……
「計算完了よ! よし、行って!」
 フィレイナはワープを実行!  メテオ・ナイツはその場を脱した!  それと同時に惑星UNP00002から強力な力場が発生し、 まさにその周辺すべての惑星を闇で覆いつくした!
 ワープの到着先はすべてが闇を覆いつくしている光景だった、 それは黒い闇というより少々紫がかったような色合いのもので、 すべてを覆いつくしていた……
 そして……その周辺にあった惑星は……惑星UNP00002諸共に姿を消してしまった――
「なっ、なんと……」
 カルディアスはその光景を展望モニタから眺めており、唖然としていた――
「やれやれ、とんだ宇宙探査だな――」
「ほんとよ、こんなの聞いてないわね――」
「宇宙を旅するって大変なんですね――」
 フローナル、フィレイナ、シェリアはそれぞれ皮肉っていた。