エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

エンドレス・ロード 第3部 果てしなき旅の節目にて 第6章 果てしなき旅の節目にて

第129節 飽くなき作り手道、ものづくりは一日にして成らず

 後日――
「これでいいか?」
 ガルヴィスはリファリウスに何かを手渡していた。その際の出来事をクラフォードが目撃していた。
「これは――まーた随分といいものを手に入れてきたもんだね。」
「フン、当たり前だろ。まあいい、そんなことより、そいつと交換だ」
 するとリファリウスは何かを渡していた。
「はいよ。10個だから40個渡せばいいかな?」
「そんなに持ちきれねえよ。まあいい、そこにいるクラフォードに手伝ってもらうとするか」
 何を手伝うんだ――そう思いながらクラフォードはしぶしぶ話に参加してきた。
「てか、何をしているんだ?」
 すると、そこへイールアーズがもんくありげにやってきた。
「ガルヴィス! てめぇ……俺の獲物を横取りしやがってただじゃおかねえぞ!」
 今度はなんだ……クラフォードは悩んでいた。
「悪いな、これで勘弁してくれ」
 と、ガルヴィスは落ち着き払った様子で先ほどリファリウスから渡された何かを5個ほど取り上げるとイールアーズに差し出したが――
「そんなものでこの俺が満足すると思ったか!」
 イールアーズはそれを手で勢いよく払っていた。 地面にそれが落ちると、その物体にクラフォードが気が付いた。
「これ、薬じゃないか? しかもリファリウスがさっき作っていたやつのようだが――」
 ガルヴィスは頷いた。
「必要なんでな、こいつが作るものなんだから間違いねえんだがそんなにぞんざいに扱うとは――」
 と、ガルヴィスは丁寧に拾い上げていた。だが、イールアーズはお冠のようすである。
「どういうつもりだガルヴィス! 説明しやがれ!」
 それに対してガルヴィスはリファリウスに言った。
「なあ、悪いんだけど説明してやってくんないか? お前のほうが説明がうまそうだからな」
 リファリウスは得意げに答えた。
「いいだろう、今回はいいものを持ってきてくれたから特別に引き受けよう。」
 リファリウスはなおも得意げに説明を始めていた。
「イール君の問題はおそらく自分で倒そうと思った敵をガル君に奪われたっていうことだろう――」
「そのとおりだ! しかもこいつ、よりにもよってちんたらと手ぇ抜いてこれ見よがしにやってやがる! 俺のことバカにしてるだろ!」
 イールアーズの怒りは絶賛上昇中。でもそういえば――クラフォードが気が付いた。
「そういやガルヴィス、お前最近妙な技使って魔物を殴っているよな? あれはどういうことだ?」
「それも私が説明しよう。」
 と、リファリウスが言うと、2人はリファリウスに注目していた。
「ガル君がやっていたのは通称”アーティファクト・ブレイク”系のアーツだ。 基礎にはこういうのがあってだな――」
 リファリウスはその場で構えると、クラフォードの胸めがけて魔法を放った!
「痛っ! なっ、なんだよっ!?」
 すると、リファリウスの手のひらには何か小粒な物体が乗っていた。
「手加減したからこんなもんか。 とにかく、今私がやったのは”アーティファクト・ドロー”というもので、 出力も特別抑えたからこれしか採取できなかったよ――」
 と、おもむろにそれを握ると、それは激しく燃え上がり、そして塵となっていた――
「今のは――エンチャント・ストーンのようだったが――」
 クラフォードは胸を押さえながらそう言った。
「そう、キミの生命力から作ったエンチャント・ストーンだ。しかも火属性……燃え盛る闘志と抱いているとは流石というところだね」
 クラフォードは頷きつつ、そして訊いた。
「なんとなく関連がありそうな気がするような気がしないような。 つまりはどういうことだって? あんたのその技とガルヴィスのやっていたそれとどんな関係が?」
 リファリウスは頷いた。
「実は同系統のアーツなんだ――といっても ”アーティファクト・ブレイク”も私が開発した”アーティファクト・ドロー”が基礎になっているんだけどね。」
 リファリウスは話を続けた。
「今やった通り、この系統のアーツは対象の部位を奪って自分のものにするという――要は盗賊の盗み技と同じようなそれでしかないんだ。 で、それをヒントになんかできないかと考えたところ、相手の生命エネルギーを何かしらの物体に変えてアイテムとしてゲットという技として出来上がった。 それの基礎技が”アーティファクト・ドロー”なんだけど、相手を攻撃する技としては威力が低いのがネックなんだ――」
 それに対してガルヴィスが言った。
「でも成功率を考えると何度もしないといけないらしい。 しかも仕組み的にもう少し強い衝撃が必要ってことらしい。 だから俺は、それなら直接ぶんなぐれば早いんじゃないかって言ったんだ」
 リファリウスは頷いた。
「まさに名案だったよ。それで”アーティファクト・ブレイク”ができたんだけど、 それで奪う効果を実現するにあたり、どうも相手の生命力を奪わないといけないことが判明したんだ。」
 てことはつもり――
「それで獲物にトドメを刺す時にわざわざあんなことしてやがったのか――」
 イールアーズは急に冷静になっていた。
「悪いな、こいつの作る薬が欲しかったんでな、材料集めに協力してやったんだ。 だが、このアーツの特製ゆえか、ちょっと火力が弱いのが玉に瑕でな、 トドメというときにちんたらと、もどかしい思いをしていたのなら悪かったな」
 すると、イールアーズはガルヴィスが持っていた5つの薬を取り上げて言った。
「そういうことなら俺も魔物を弱らせるために手伝ったことになるからな! 手間賃だけはもらっとくぞ!」
 イールアーズはそのまま去った。その様を見届けつつ、クラフォードはリファリウスに言った。
「……ものづくりへの道は険しいもんだな、アーツのほうにまで手を加えるとは――」
「そうとも、ものづくりは一日にして成らずだ、作るためだったら専用のアーツの開発だってするよ。」
 なんかますますヤバイ。
「で、俺もできればそれで手伝えればいいんだが――」
 クラフォードが訊いた。
「そいつは助かるね。 何せここんところのクラウディアスに戦争があったせいであちこちで少なからず何かしらがあるけど修復のためにいろいろと足りていないからね。 アーティファクト系の技を覚えたければフィリスのもとに行って来るといいよ、いい具合に指南してくれるはずだ。」
 しかし後日――志願した男どもはことごとくフィリスに滅多打ちにされていたことは想像に難くない――。